第八十話 事を成す為に
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」
プラントに到着したカガリはプラント政府の関係者と会談を開けないかと外交官に尋ねるが、カガリの現状の立場の弱さとオーブとプラントの関係性もあり、やはりそう都合よく対話をするなどというのは難しい事だった。
「――――非公式でも構わない。とにかく、プラント側の正確な意思を私としても把握したいんだ」
食い下がると言うには些か要求が弱いが、せめて話だけでもと交渉を続ける。
「そうは言われましても……正直な話、我々としても意思決定は複雑なものとなっておりまして……」
「やはりデスティニープランに対してプラントも賛同者だけではないという事か?」
公式での来客ではないとはいえ大使であるカガリに対して、外交官も言葉を選びつつ話す。
「それはまあ、いきなりの改革ですからね。誰だって少なからず不安もあるでしょうし……ここだけの話、デスティニープランに懐疑的な意見を持っているのは割合的には地上よりもプラントの方が多いって噂ですよ」
プラントも一枚岩ではない。穏便派よりの中立派であるルイーズ・ライトナーやごく少数ではあるが市民の反発、そしてザフト内での派閥の分裂など、ブレイク・ザ・ワールドや戦争によって疲弊した地球よりも余裕のあるプラントの方が問題が発生していた。
「そうなのか……今すぐには無理でも時間を掛ければ会談を開くことは可能か?」
その話を聞いてカガリは今の状況が想像していたものよりも危険であると判断する。実際、ザフトと連合が意見を喰い違えて戦争が続くことになるというのであれば、まだましだと言える。敵と味方、勝利と敗北の条件がはっきりとしているからだ。
しかし、ザフトが内部分裂によって争うというのであれば何が勝利条件となり、誰が敵で誰が味方なのかが混乱することになるだろう。デュランダル議長を斃せば終わりか?敵の敵は味方という理屈で連合とザフトの反対派が手を組むというのか?間違ってはいない。しかし、果たして本当にそうなるだろうか。
議長を斃してもデスティニープランというある種の解決策を提示されてしまった以上、他の人間がそれを引き継ごうとすることだろう。手を組んだ両軍が勝ったとしても、今度は両者の利権による諍いが起こるだろう。そういった意味ではデュランダル議長はこれまでこの上なく上手く両軍を纏めていたと言ってもいい。共通の敵を生み出し、その大義を分かりやすく提示し、それが終われば考える猶予を与える間もなく新たな解決策を魅せる。そして、自らが討たれたとしても後を引き継ぐものがいる状態を整えていると言える状況なのだ。
「思った以上に厄介な……いや、危険な相手だ」
「は?何かおっしゃられましたか?」
心の中で呟いていたつもりだったが、どうやら最後の言葉を口に出していたらしい。外交官に尋ねられ、カガリは
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