暁 〜小説投稿サイト〜
箱庭に流れる旋律
歌い手、強制収用される
[3/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
情報は抑えたほうがいいよ。でも、今有利なのは間違いなく向こうだし、答えるまでもない質問だった。なら、交渉を続けるべき・・・だと思う」

 小声でそう説明しつつ、向こうに顔を向ける。

「そう、なら・・・ねえ皆さん。此処にいるメンバーと白夜叉の七名が“グリムグリモワール・ハーメルン”の傘下に入るなら、他のコミュニティ、参加者は見逃すわ」
「なっ、」

 ただ、予想の斜め上の交渉が来ると、どうしようもなくなる。

「私、貴方達のことが気に入ったわ。サンドラは可愛いし。ジンは頭がいいし。奇跡の歌い手までいるし」
「私が捕まえた紅いドレスの子もいい感じですよマスター♪」

 やっぱり・・・飛鳥さんはあの後捕まったのか・・・

「ならその子も加えて、ゲームは手打ち。参加者全員の命と八人の身柄なら、天秤にかけるまでもないでしょう?」

 そう言いながら小首を傾げる姿は、悔しいが、愛らしいものだった。
 だが、その裏には愛らしさとは真逆の意味が・・・従わなければ皆殺しだと言う、警告が含まれている。
 だから・・・切り札の内の片方を、早々に切ることにする。

「・・・白夜叉さんから伝えられた中にもあったんだけど、“グリムグリモワール・ハーメルン”は、新興のコミュニティ・・・違う?」
「答える義理はないわ」

 そして、相手は予想通りに食いついてきた。
 明らかに、答えるのが早すぎる。

「なるほどな・・・新興のコミュニティだから優秀な人材や、白夜叉、奇跡の歌い手のようなビッグネームに貪欲なのか」
「・・・」
「いいのか、魔王様?沈黙は是なり、だぜ?」

 その切り口を逆廻君が感づき、攻撃してくれた。

「・・・だからなに?私達が譲る理由は無いわ」
「いいえあります。だって、人材不足の貴女達は、此処にいる人材を無傷で手に入れたいと思っているはず」
「でも、一ヶ月もあれば、僕たち人間はもちろん、亜龍の人達も死んじゃう・・・そうだよね、サンドラちゃん?」
「え?あ、うん」

 突然振ったからか、サンドラちゃんは素が出ちゃったけど・・・気にするのは後にしよう。

「そして、死んでしまえば、その人材は手に入らなくなる。だから、そうなる前に交渉を仕掛けた。実際に三十日が過ぎて、失われる人材を惜しんだ」
「・・・ええ、そうよ。でも、だから何?何度も言っているけど、私達には再開の日取りを自由にする権利がある。わざわざ最長の一ヶ月にしなくても・・・二十日にすれば、秒自前の人材を、」
「では発症したものを殺す」

 マンドラさんのその発言に、ペストは今までで一番の焦りを、顔に浮かべた。
 マンドラさんは真剣に言ってるみたいだし・・・此処は、利用させてもらおう。

「例外なく、発症したもの全てを、だ。サン
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ