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乱世の確率事象改変
〜幕間〜 規律と責任
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……一太刀で斬り落とした。
 静まり返るその場に、震える身体で俺の前に膝をついて頭を垂れる。
「申し訳ありませんでした」
「何か問題があったか? お前は賊を殺しただけ。そして……俺の命に従っただけだ」
 兵の顔が安堵に染まる。俺の命に従っただけという事を確認して心の負担が減ったからだ。味方を殺すなんてのは通常の精神では出来はしない。俺だって自分で手を下さなかったからこそ、込み上げる吐き気を抑え付けられているのだから。
 横を向き、眉間に皺を寄せている楽進を見る。幸いこの現場を曹操軍で見たのは彼女のみ。だが曹操に対しては隠す事こそ愚かだろう。先手を打って置くべきだ。
「楽進殿、この不手際は曹操殿に報告してくれ。報告の仕方はあなたに任せる。責任の所在は全て隊の管理を怠った俺にある、とだけは伝えてくれ」
「……分かりました」
 冷たい瞳で告げ、楽進は自身の隊に戻って行った。
 それから俺は自身の隊に一つの規則を決める。
 上位命令、それを破ったなら極刑と処すモノを。反対出来るモノを幾人か任命すると、どうやら兵同士で不安などをうまく自浄してくれたようで反論も無く、驚くほど上手く行った。
 規律の厳しい曹操軍と共に行動してるのも大きかったのだろう。
 そうしてしばらくしてから隊を纏め直し、俺達は義勇軍本陣への帰路に着いた。

 †

「その話なら華琳様から少し聞いた。徐晃にはお咎めなしだとおっしゃられていたから驚いたが」
「下らない兵を作るのが悪いんだぞ徐晃。初めからもっとちゃんとしておけば良かったモノを」
 そんな感じで曹操に借りを作ってしまった。ただ、俺個人の借りとされていたのでまだマシではあった。
 実はこの話を知っているのは曹操、楽進、俺、夏侯淵、夏候惇、荀ケしかいないらしい。そして詳しく知っているのは曹操と当事者である二人だけ。
 俺の兵には戒厳令を敷いたので喋る事も無い。喋る前に他の隊員に殺されるだけだ。
 朱里と雛里には、俺がした対応の全ては言ってないがある程度伝え、兵の管理を厳しくするように指示しておいたので大丈夫。
「だがな姉者、もしかしたら私達の軍でも起こり得る事かもしれない。姉者の手が全てに回る訳じゃないだろう? それに時間が限られている時も難しいだろう」
「……確かにそうか。練度の違う兵は足を引っ張るし……何を起こすか分からん」
「うむ、凪もその後、華琳様に説明されていたからか、徐晃のした事もしっかりと理解したようだ」
 厳しい規律を守る曹操軍に当てられたわけではないが、甘さは時として自身を滅ぼす毒となる。
 楽進は正義感が強く、どこか甘く見がちな部分があった。しかしこれで彼女は成長するだろう。俺の目指すモノからは全く嬉しい事ではないが。
「すまなかったな。それとありがとう」
 謝ると、彼
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