覇王との対面
[6/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
補給断絶による弱体化、物資の確保、もっとあるだろう。
初戦からこのような賊と戦える幸運などそうそうない。それに俺たちについてる軍師はあの諸葛亮と鳳統なのだ。狙ったと考えるほうが自然、いや考えないほうがおかしい。
「どっちが、いやどっちもか」
「やっぱり秋斗さんはすごいですね。他の方は気付かなかったのに」
斥候を放つ方向も限定したんだろう。偶然を装うことで思考を縛り、戦闘を余儀なくさせる。兵達の気持ちが怯えないように。そこまで考えて、か。
「いんや。お前たちには勝てないな。さすがは朱里と雛里だ」
そう言って二人の頭をぽんぽんと叩く。
「あわわ」「はわわ!」
恐ろしいほどの才能だ。味方で本当によかった。
俯く雛里と慌てる朱里に癒されながら確認作業を再開しようとしたが、
「報告! 我らが義勇軍の代表である劉備様にお目通りをしたいとおっしゃられるお方が現れました!」
突然の来訪者によって中断せざるを得なくなった。
†
「はじめまして、でいいわね。我が名は曹孟徳。此度の戦、見事だったわ」
重要拠点を見つけて攻め入るはずが、誤算だった。先の報告では残っていた兵力は一万程度。拠点へ帰り際の賊を見つけてしまい潰さないわけにはいかなかった。その隙、いや好機といいましょう。そこをついてこの義勇軍が拠点を落としてしまったのだから。
「わわ、私は劉元徳です。この義勇軍の総大将をしています。今回の勝利は義勇軍の皆さんと仲間たちのおかげです」
そう、あなたが噂に聞く『仁君』。なるほど、浮ついた雰囲気もあるがゆったりとした覇気を纏っている。王才は未だ成長途中というところか。
「ふふ、緊張しなくてもいいわ。この機を見てこの場に攻め入った思考、それに策を忠実に遂行し被害をこれほどまで軽微に抑えきる武、本当にいい義勇軍ね」
「ありがとうございます」
関羽、張飛、徐晃、諸葛亮、鳳統。これらの英雄が一挙に集うなどまさに劉備の王才によるものだろう。
確実にこれから表舞台に出てくる。その時私の好敵手となるほどの存在に成長しているのかどうか。
「劉備、一つあなたに聞きたいのだけれど」
「な、なんでしょうか?」
「あなたはこの乱世に、何のために立とうとしたのかしら?」
確認しておきたい。この者の目指すものが何なのか。
「私は、この大陸を誰もが笑って暮らせる争いのない優しい国にしたいんです。そのために乱世に出てきました。そして理想の実現のためには誰にも負けたくないって思ってます」
その理想、この先も持っていられるのか。今全てを判断しきることはできない、か。ふいに、後ろに控える男の雰囲気が少しだけ変わる。ほんの些細な違和感だったが……それもこれから判断していきましょう。
「……そう、それがあなたの理想。ならば劉備。黄巾の討
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ