覇王との対面
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後の戦いだよ!今までよく我慢したね。これより反転、間隔をあけて前線の兵を受け入れつつ反撃に入るよ!黄巾なんかぶっとばしてここら辺を平和にしよう!」
兵達からこの時を待っていたと言わんばかりに雄叫びがあがる。
「さあいこうか、獣狩りだ。獣に堕ちた者に相応しい最期をくれてやれ! いくぞ!」
秋斗さんは兵達の理性の枷をはずす。少しでも心の負担が減らせるようにと。
去っていく背中はどこか小さくて、何故か胸が締め付けられた。
哀しいことだ。
立場が違う、境遇が違う、時期が違う、場所が違う。
ただ少し違うだけで賊と義勇軍に分かれた者たち。傲慢な俺たちは命の取捨選択をする。
これが戦争だ。ただの賊討伐とは違う。国を持って兵同士で殺し合いをさせるのも同じ事だろう。
明確なモノではなくとも、何がしたいか、何を望んでいたか、それが確かにあったのだから。
割り切ることなどできない。だが止まることなどもっと出来ない。
「秋斗殿!」「お兄ちゃん!」
「二人ともどうだ、調子は?」
冷めた頭で思考にふけるうちに二人と合流できた。ここが最前。
「ばっちりなのだ!」
「問題ありません。私たちもそろそろ全力で戦っても?」
「構わんだろうさ。後は殲滅。兵達の犠牲を減らすために戦えばいい」
せめて選択した中から一つでも多くの命を救おう。
「よーっし! もう我慢しなくていいのだな!? 突撃! 粉砕! 勝利なのだぁー!」
「わかりました。では、三人の力を見せつけてやりましょう」
そう言われて三人で戦場を駆ける。
本気を出した俺達義勇軍の前には、狭く囲まれた賊どもは為すすべもなかった。
被害は軽微、敵は自軍より多かった。初戦にしては素晴らしい内容だろう。
そうして劉備義勇軍は乱世の始まりに本当の産声をあげた。
†
敵の殲滅をした俺たちは賊の拠点に戻り、敗残兵がいないか確認する。
どうやらいないようだ。しかしさすがは大規模の賊の戦略要所。物資の数がすごいな。
朱里と雛里とともに物資の確認を行う。
「やはりここを重要拠点にしていたようですね。できれば今回の私達の戦が、賊討伐に来ている周りの諸侯の方の耳に入ればいいのですが」
朱里が話すと、戦前の違和感が形になった。
「あぁ、違和感はこれか」
不思議そうな顔で俺を見る二人。足が少し純粋な恐怖に震えていた。
「お前達狙っただろ。初戦にこの場所を」
「あわわ」
「……気付いてたんですか」
驚き、俯く雛里と、知性の灯った瞳で聞き返す朱里。
「今確信しただけだ。最初はちょっとした違和感だけだったよ。だが出来すぎだろう。結果からの波状効果があまりに多様すぎる」
これからの討伐への作戦拠点入手に、諸侯へのアピール、賊の
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