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乱世の確率事象改変
覇王との対面
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 これでいい。相手がこちらを囲みきろうと動く直前に押し、引くことで間ができる。その間に反転後退をすれば被害は軽微になりこちらも動きやすい。
「もうすぐです」
 まだだ……。まだもう少し。あ、押し返した!


「「今です!!」」


 雛里ちゃんの隊も動き始めた。軍が一斉に形を変える。
 ここからは耐久。迅速に、出てきた相手に圧倒されて逃げだしたと嘘をつくのだ。
 徐々に圧されているふりで片足を泥沼に引きずり込む。逃げるモノを追う獣の思考は愉悦と狂気に支配されるものだから。
「手加減は難しいけど兵の皆を守ればいいのだ!」
 その通りだよ鈴々ちゃん。守りながら攻めるっていうのが正しいかもしれない。
「やっぱり朱里のおかげで動きやすいのだー!」
「何回も組んでるもんね! がんばろうね鈴々ちゃん!」
 秋斗さんと愛紗さんの隊が次々に後方へ下がっていく。こちらは少しずつ前に出る。
 しばらく時が経ち、ここが最後方に……なった!
「よう、朱里」
「秋斗さん!? 一度後方へ――」
「予定より敵の数が多いだろう? 愛紗と交互にこっちに出ようと思うんだがどうかな? てかもう愛紗は行ったが」
 戦場で判断してくれたのか。確かにそちらのほうがいい。
「お願いします! 桃香様の隊もきましたし今の所予想より被害は軽微、このまま状況を維持していきましょう」
「了解」
 そう返事をして鈴々ちゃんと共に兵を守る戦いをしにいく秋斗さん。鈴々ちゃんも動きが良くなる。
あとちょっとだ、私も頑張ろう。


 †


 目的の場所に着くころには敵の動きが明らかに単調になってきていた。
 焦れているのだろう、もはや敵は思考を完全に縛られている。
「どうした? 随分と動きが悪いじゃないか」
 戦闘が行われている殿を見やりながら楽しそうな声で言うが秋斗さんは目が笑っていない。
 その目は兵士たちを、賊に対してさえも殺してしまったことを哀しんでいる色。
 悩んでいるわけではなく、そういうものと割り切るわけでもなく、ただ渦巻いた事実が哀しいということ。
「雛里?」
 気付けば見つめてしまっていたようで、目が合い声をかけられた途端、鼓動が跳ねる。
「は、はい。もうしゅぐ反転して兵達のいれ変えをおこ、行いまし……あわわぁ……」
 焦って噛み噛みになってしまい、近くの兵達から笑いが起こった。
「くくっ、我らが軍師様は策が成功したため、いつも通りに戻られたぞ。お前ら! もうすぐ、ここを終わらせたら勝ちだ、最後の仕事といこうか!」
 恥ずかしい……でも兵士さんも硬さがとれて落ち着いたようだ。こういう心理状態の時には、どんな事でも一番の成果が出る。
 その時最前から合図があった。
「桃香様!」
 こくりと頷き桃香様が話す。
「皆!最
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