暁 〜小説投稿サイト〜
アマガミという現実を楽しもう!
第12話:秋の到来・出会いの秋
[4/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
れを感じる身体を使って自転車のペダルを漕ぐ。本日は知子と響はスクールのスイム練があるため、陸トレは俺だけ参加して今自転車を漕いでいるのは俺一人だ。
俺を乗せる自転車は帰路に一直線ではなく、輝日東と輝日南の合間にある公園に進路を取っていた。茶道部の稽古もピークを過ぎ、水泳部の新人戦に向けてテーパー(試合直前に練習強度を落とす、レースの動作の確認をするなど、レース用の身体に仕上げる段階)の段階に入ったので、少し気分転換をしようと思った。それに、今までの忙しさの中で考えることを止めていたあの事について考えておきたくなったのだ。
 知子を抱きしめてしまった件である。あの一件以来、どうも知子との会話がぎこちない。俺の顔を見るたびに顔を赤くして離れていくし、響にも、何かあったの?と心配される始末だ。このままでは、俺達の関係が崩れかねない。それに俺自身、抱きしめたことに関してどういう精神状態だったのか分からなかったため、その辺りの整理をしたいと思ったのだ。


(もしかして俺はあいつを…、それは違う。駄目だ、未だあいつは13歳、そういう趣味は俺には無いはず…)


 仮定を頭の中から振り払いながら、キィ、とブレーキを使って自転車の動きを止める。自転車から腰を上げて降り、自転車置き場に停めて鍵を掛ける。かごに乗せていた学生鞄を手に、階段を上がる。階段を上がった先には、街と海が一面に広がる景色と海に沈んでいく夕陽が見えた。10年以上後に星乃結美がお気に入りだと相原に語った光景が、今から三年後に橘純一が待ちぼうけを喰らって失意の中で眺めていた風景が広がっていたのである。一度来てみたかった、と俺は思っていた。
とりあえず、座る場所を探すことにした。




二人がけのベンチという座れる場所を見つけたが、そこには先客がいた。制服を着た綺麗な女子生徒が片側に座っていたのだ。制服はアマガミの原作から、輝日東高校の制服だと見て間違いがない。太陽が落ちるのも早くなってきたし、こんな時間まで一人で何をしているんだ、という疑問が湧いてくる。まずは一言断ってから座ることにした。


「あの、隣に座ってもいいでしょうか」
「…」


その女子高校生から返事は無かった。何もないように無表情で虚ろな瞳に夕陽を映していた。そう、彼女はまるで俺が見えていない、いや周りには何もないような様子であった。それでも断らなければならない、と俺は思い彼女に再び声を掛ける。


「あの!」
「あっ…」


と俺の少し大きめの声で彼女に話しかけると、彼女ははっとした表情に蚊が鳴くくらい小さい声を発した。そして、俺の方に顔を向ける彼女。急に彼女の顔面が笑顔に形作られていく。


「も〜、君の声でお姉さんビックリしちゃったよ」
「あ、すみません、びっくりさせてし
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ