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フロンティア
一部【スサノオ】
十七章【試練】
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「お前…っ」

いいかけたジャックだが、そのあまりにも凄まじい形相に頭を抱えると、

「…ったく。無茶苦茶な奴と組んじまったもんだぜ。……どうするんだよ零?やるか?」

「俺は…」

ジャックに諦めたような顔を向けられ零は悟る。
やるしかないんだ、と。

「良いですよ。俺にはこのネイティブがどれだけ強いのか分からないですけど……もっと強くなりたいですし…皆がやるのに俺だけ指加えて見ていられないですから」

「…たまに熱血だよな。零は」

苦笑するジャックだが、その心は不満ではない。
むしろ、喜びといってもよかった。

「俺は運がいいんだか悪いんだか…」

零を引き寄せ、無理矢理ジャックを中心に肩を組む。

「ちょっ、ちょっとジャックさん!?」

「いきなりなんですのっ!」

まぁまぁ、と笑うとジャックはふとウォルターへと目を向けた。

「何考えてるかわかんねぇけど…今はその挑発に乗っといてやるよ」

「フフフ、君達なら受けてくれると思ったよ」

「言ってろ…」

そう吐き捨て2人を引きずるように歩き出すジャック。
ティティもウォルター達へと一礼するとそれを静かに追う。

それを黙って見据えるウォルターとユーリ。
最初に口を開いたのはユーリだった。

「確かに…時期尚早ですね。何を考えているんですか?」

「なにも…ただ、彼らには強くなって欲しいだけさ」

「また、彼らは何かの実験サンプル…というわけですか」

嫌みのようなその言葉に、ウォルターはニヤリと笑うとユーリの口を人差し指を押しあて止める。

「人聞きが悪いよユーリ君。僕は僕なりの親切で彼らに試練をかしているのさ。期待の新人として、ね」

「新人はごまんと居たでしょうに…なぜ彼らを」

「それは、まだ君が知る必要が無い事さ。…今は、ね」

そう言い転送を開始するウォルター。

「本当に…読めない人ですね。…博士」

ふっと笑みをこぼしモニターへと目を戻すユーリ。
深く考える必要もない。
ユーリにとっては他人事だった。
利害の一致。それだけが、それだけしか2人の間には無いのだから。




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