TOKYO CONNECTION
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ェイターを呼んだ。
「ワインありますか?」
「はい」
呼ばれたウェイターは愛想よくそれに応えた。
「赤がいい、それとも白?」
「そうだね」
問われた俺は考えた。そして答えた。
「ロゼありますか」
「ロゼですか」
「はい」
ウェイターにも答えた。
「何かお勧めがあればいいですけれど」
「パスタを召し上がられていますね」
「ええ」
「それならばこれはどうでしょうか」
彼はそれに応えてメニューを開いて彼に見せた。そこには数本のワインのボトルが載っていた。
「これなんかお勧めですよ」
「これですか」
「はい」
見れば発泡性のあるワインだった。甘いと書いてある。どうやら北イタリアのワインであるみたいだ。
「これはとあるオペラ歌手の出身地のワインでして」
「もしかしてあの髭だらけの顔の人の」
「はい、そうです」
彼はにこりと笑ってそれに答えた。
「よく御存知ですね」
「いえ、それ程でも」
俺は笑ってそれに返した。あの歌手のことは日本でも有名だ。毎年みたいに来日して歌っているので俺も名前を覚えたのだ。クラシックには詳しくなくてもあの歌手のことを知っている者は多いだろう。
「これはお勧めですよ。飲み易いですし」
「じゃあそれを」
「私もそれにしようかしら」
話を聞いていた彼女もそれにしようかと言い出した。
「そのワイン飲んだことないし」
「それではこれを二本ですね」
「ええ」
彼女は頷いた。それから俺に声を向けてきた。
「それでいいわよね」
「うん」
俺も特に異論はない。車のことを気にしなければ酒を幾ら飲んでも構わなかったからだ。
「それ下さい」
「わかりました」
彼はそれを受けて下がった。そして暫くしてよく冷えた二本のワインを持って来てそれを俺達に差し出した。グラスに薔薇色の酒が注ぎ込まれる。泡が立っていた。
「どうぞ」
そしてそれを俺と彼女に差し出す。俺達はグラスを打ち合ってまずは一口飲んでみた。
「美味しいわね」
「うん」
「思ったより甘いし。これってイタリアのワインよね」
「そうだよ」
「イタリアのは結構飲んできたけれどこんなに甘いのははじめてよ」
「へえ、それは意外」
俺はラザニアを食べながらそう言った。
「甘いワインが好きだとばかり思ってたよ」
「実は違うのよ」
彼女は悪戯っぽく笑って俺にそう答えた。
「私実はお酒は辛い方が好きなの」
「そうは見えないね」
「でしょ。だから結構驚かれるのよ。意外だって」
「僕もそう思うよ」
「素直ね、貴方って」
彼女はそれを聞いて苦笑した。
「素直だと女の子にあまり
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