暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜黒の剣士と紅き死神〜
過去編
挿話集
聖燗幻夜A
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はい、ありがとうです。にぃ」

流石に三騎士を無傷でいなし切る事は出来なかったのか、ポーション回復中の彼は手をヒラヒラとさせながら言った。
ユイが彼の肩から飛び立ってキリトの頭の上に乗る。

「リズ……レイ……お前ら」
「キ、キリトさん!私も、頑張りますから。早く」

仲間達が壁を作っている向こうでは既に不穏な空気が渦巻いていた。もう、猶予はあるまい。

「みんな、ありがとう……」

22層で2人を待っているはずの《森の家》。よもや同じ場所を狙っているプレイヤーが居るとは思えないが、それも絶対ではない。

加えて2人だけの時間を仲間達は稼いでくれるという。

「行け、キリト、アスナ……少しだけだが、今から数分間はお前達だけの時間だ」
「……ああ」
「うん」

巨大な扉に手を添え、グッと押し開ける。

出来た隙間を通り抜け、階段フロアに入る。

「行こ、キリト君、ユイちゃん」
「ああ……!」
「はい!」

彼の暖かな手を指を絡めて強く握る。
足に力を入れると2人は同時に螺旋階段を駆け上がり始めた。上がるごとに体が軽くなり、目頭が熱くなっていく。そして、階段の頂上。

夜天を舞う白い粉、その先に光る宝石を見据え、2人は強く地面を蹴った。


聖なる夜にしんしんと降る白い雪。

それは月や星の明かりを浴びてキラキラと光っている。幻想的な景色の中を飛翔する2つの影は固く結ばれたまま、その中に消えていった。




E N D










〜おまけ〜




「……さて、これで全部か」

刻んだプレイヤー達がドロップしたアイテムやら武具類をドサドサとオブジェクト化し、捕縛したプレイヤーの前に積み上げる。



「……あれ、何で私達やられてないんですか?」
「……不思議よねぇ?」
「殆どセラが喰ってたな。いやはや流石だ」

順にシリカ、リズ、サクヤ。中立を表明したシルフ隊は隅の方でじっとしていたのだが、例外として参戦したのはリーファ、セラ。
事にセラは漆黒の《ムラサメ》を振り回し、『一振一殺』という奮戦(?)を見せ、撃破スコア20という驚異的な記録を打ち立てた。


本人曰く、「お兄様にそんな不粋()モノ()を向けることは万死に値します(キリッ)」だそうだ。



頼も恐ろしい妹である。



「15分どころか2時間丸々稼げたな。もうちょいしたらシルフ隊にアクティベート頼んでキリの字達と合流しようぜ」

「そうですね!お兄ちゃんばかりいい思いするのはダメです」
「お前らなぁ……」

ちょっとは気を使えよ。特にリーファ。俺の斜め後ろで負のオーラを放っているレコンを何とかし
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