スペース=ラバーズ
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して僕はそれを身体全体で感じた。
船はそのまま空港に着いた。そしてそこでまた放送が入った。
「只今地球に到着致しました。是非地球に足を踏み入れて下さい」
「言われなくても」
そのつもりだった。荷物を手にして船を降りた。そして港に出た。
「ふう」
まずは地球の空気を吸った。それは青く綺麗な空気だった。やはり宇宙船での空気とはまるで違っていた。
「さてと」
それから辺りを見回した。そこには地球に帰って来た人に地球を出る人、そしてそれを出迎えたり見送う人達でごった返していた。
「いるかな」
僕は彼女を探した。だが彼女の姿は何処にも見当たらない。
「ここにはいないのかな」
そう思い先に出た。ロビーにもやはり大勢の人がいた。だがここにも彼女はいなかった。
「三年だからなあ」
僕はふと会っていなかった年月を思い出した。
「もしかすると雰囲気とか全部変わっているのかも。だとしたらわからないのも道理か」
「ねえ」
ここで後ろから声がした。聞き覚えのある声であった。
「その声は」
僕はそれを受けて振り向いた。そこには彼女がいた。
三年前とはかなり変わっていた。あの時はまだ少女だった。だが三年の月日が彼女を大人の女性に変えていた。顔はあまり変わっていないが雰囲気は大人の女性のものとなっていた。
「出入り口にいないから心配したのよ。何でここにいるのよ」
彼女は微笑んで僕にそう声をかけてきた。
「ちょっとね」
僕は照れ臭かった。苦笑いしながら彼女に答えた。
「君に早く会いたくて」
「嘘仰い」
彼女は僕を見上げて笑ってそう言った。
「どうせ三年も会っていないから私の顔を忘れちゃったんでしょう」
「違うよ」
僕はそれを慌てて否定した。
「忘れるわけないじゃないか。ただ」
「ただ。何?」
「いや、感じが変わっていて。最初見た時は驚いたよ」
「私が?変わった?」
「うん」
「そうかしら。服も三年前とそんなに変わっていないけれど」
見れば地球のファッションは三年前と大して変わっていない。よく一年で大分変わったりするものだけれど。
「まあね。服はね」
「じゃあ何が?」
「君の感じがね。随分変わったよ」
「そうかなあ。私はそうは思わないけれど」
「変わったさ。大人になったよ」
「あら、そう」
それを聞いて機嫌をよくしたようである。
「そう言われたのははじめてだわ」
「三年間の間でね。本当に変わったと思うよ」
「貴方もね」
ここで彼女は僕にも言った。
「僕も?」
「ええ」
彼女は答えた。
「何かたくましくなったじゃない。やっぱり三年で色々あったでしょ」
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