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ソードアート・オンライン〜黒の剣士と紅き死神〜
過去編
挿話集
聖燗幻夜@
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「お疲れ。さ、早く行かないと追い付かれてどやされるぞ」
「はい!」
「おう」

今回のパーティーはアスナをリーダーにキリト、俺、リズ、シリカ、クライン、エギル。その7人はいち早く21層ボス部屋に到達せんがために全力疾()していた。
その為の工夫として先行部隊――俺、クライン、シリカ――を設けて最短ルートまでのMobを蹴散らし、後発隊が他のパーティーを牽制しつつスムーズに進むという形態を取っている。

その性質上、突破口を開くのに手間取っていると世にも恐ろしいバーサークヒーラーさんがMob以外の動的オブジェクト(先行部隊)を相手にバーサークしかねないので停滞は許されない。


実際はそんなことはしないだろうが、新生アインクラッドが出来てからアスナがこのボスを倒した後のために膨大なユルドを貯め続けてきた事を知っている俺は言われなくとも全力を――もちろん規範内で――尽くすつもりだった。

と、その時。

「……あ!!前からプレイヤー、来ます!!」
「……ちっ!」

振り返ってそこに居た、大柄のサラマンダーの首をすれ違い様に切り落とし、追ってきたそいつと同じギルドの面々に向き直る。

(インプ3、シルフ2……1人はメイジか)

目の前に迫った火球や刃物を《焔鎧》が受け止める。


「くっそ……」


硬直した前衛の剣士2人を続けざまに死亡マーカーに変えると、メイジの護衛に付いていたプレイヤーを強行突破して戦闘の中核にいたメイジを切り裂く。

「ちくしょう!」

消え際に罵倒を浴びたが、そんな事を気にしている暇はなく、すぐさま2対多数の戦闘を強いられているクラインとシリカの救援に行く。

外側から遠隔攻撃のプレイヤーを潰していくと、それに呼応するようにクラインとシリカが攻勢に転じた。

カタナ系範囲攻撃《(おろし)

短剣3連撃《リンスク・ネイル》

近距離戦闘なら大ギルドの足止め用員など2人の敵ではない。シリカが敵のHPを削り、クラインが残りをまとめて刈り取った。

「クソ、大分時間取っちまったな……」
「……ここのとこ目立ってるからな俺達は。警戒もされるさ」
「まだレイドの空きはあるでしょうか?」

「厳しいな……ま、普通に行けばだがな」
「「……?」」










迷宮区入り口でハイドしていたプレイヤー2人を瞬殺して安全を確保すると、レイは虚空に向かって呼び掛けた。

「ユイ、もう大丈夫だぞ」

瞬間、差し出したレイの手のひらの上に光が凝縮し、小妖精姿のユイが現れた。

「お疲れ様です、にぃ。予定時刻より早く着きましたね」
「ああ。だが、奴ら作戦が巧妙でな。随分と先に迷宮区に入られている。ナビゲート、頼むぞ」

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