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乱世の確率事象改変
牡丹の花は白を望む
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がいい事もあるしそのままでいい。俺は別に気にならないし、これはただの予想だが……多分そのうちあの子から何か言ってくれるだろうよ」
「牡丹からお前にか?」
「ああ、きっと耐えきれなくなる。これ以上は事が起こってからにしようか」
 なんでだ? と聞いてくるが苦笑して流しておいた。
 理由はとても簡単な事で、白蓮の遥か後方から恨めしそうにこちらを睨む関靖がいるからだった。



 そんなやり取りから数日後のとある日、とうとう事が起こった。
「お前、ちょっと話があるんで面貸しやがりなさい!」
 朝の白蓮との謁見が終わりすぐに、まさに怒り心頭、といった様子の関靖に呼び出された。
 しかし何かをした覚えは全くない。あるとすれば、昨日の夜に行われた街の長老達と白蓮との交流会が遅くまで続いたことくらい。
 今日は政務が少ないとの事で久方ぶりに遅くまで飲めると息巻いていた彼女に、交流会が終わってからも付き合い続け、帰ってきたのは丑三つ時をとうに過ぎていた。
 付いていった先は城の中庭だった。人気の無い所に来てから振り返り、わなわなと震える肩ときつく握りしめた拳からはどれだけ怒っているのかが読み取れる。
「たかが客分の私兵如きが美しい白蓮様を穢したんですか……」
 いきなり彼女が怒っている内容を言われて一瞬思考が停止したが、すぐに笑いが込み上げてきた。
「クク、あははは! そんなことか!」
「そんなこと!? なんて言い草で――」
「お前は勘違いしているようだが……いや、仕方ないか。確かに遅くまで連れ回したのは悪かった。だが簡単に証拠を示せるからそのような事は無かったとはっきり言えるぞ」
 俺の話を聞いてジトっとこちらを睨む。まだ信用しきってはいないということだ。
「今日の仕事が終わってから『娘娘』へ行って店主に俺達が店から出た時間とそこで行われていた事を確認するといい。白蓮が帰って来るまで起きて待ってたんだろ? 充分な証拠になるだろうよ」
「なっ、何故それを!?」
 関靖はビクリと身体を仰け反らせて分かりやすいことこの上ない驚愕のポーズをとる。
「普通、あの時間まで起きてる奴なんざいないだろ。事情を知らなくて、よっぽど白蓮の事を心配してる奴くらいなもんだ。安心しろよ、俺はお前の好きな人を取ったりしない。白蓮とは友達なだけだ」
 俺の言葉に顔を真っ赤にして俯く関靖だったが、ふいに中庭の地面に涙が零れ落ちる。
「うぅ……ひっく……本当、は分かって、んです……でもお前がっ……お前が来て、からっ……うわぁぁぁぁん!」
 何かを呟いてから急に大声で泣き出してしまった。
 俺は彼女のあまりの急変にただ慌てる事しか出来ずにおろおろしていると、
「おやおや、秋斗殿は女子に罪な事をしておられるのか」
 木陰から星がすっと出てきた。にやつい
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