〜幕間〜 竜との出来事
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っぱり怖いよ朱里ちゃん。
†
次の日、仕事はそこそこに街に出ていく秋斗さんを見つける。堂々たる姿はまるで今日は休暇だと言わんばかりで、しかし与えた仕事量から簡単に推察できるが終わっているはずがない。
桃香様に一言伝え、仕事を雛里ちゃんに任せてから後をつける。
街道を真っ直ぐに進んで行く彼から二十歩程後ろのここならば気付かれる事もないだろう。必ず捕まえてみせる。
「おや? 物陰に隠れて覗き見とは趣味が悪い」
物陰に隠れながら進んでいると不意にすぐ近くから声をかけられた。
「せ、星さん」
最近真名を交換した星さんがそこには立っていて、
「気になるのなら堂々とついていけばよかろう」
不思議そうに、いや、おもしろそうに問いかけてきた。
「いえ、あの人は仕事をサボって街にでているんです。遊んでいるところを現行犯で捕まえないと」
「……くっくっ。なるほど。それはいけませんな。しかるべき罰を与えなければ。私も手伝っても?」
ほう、と一つ息をついてから悪戯を思いついた子供の様に笑い、同行を申し出てくれた。
「お願いします。もし逃げたら私じゃ追いつけませんし」
「引き受けよう。可愛い少女の頼みだ」
心強い味方が出来て、これで必ず成功するだろうと思っていると、視界の端に彼が街道の角を曲がって行くのを確認した。追いかけないと。
しばらく尾行すると彼はとある店に入って行った。
「もうお昼は食べたはずなのに。それに……」
その店は幽州一有名な高級料理店。彼の給金じゃこんなところで食べるお金はないはずで、私達義勇軍の誰もが入る事もできない所のはず。私もいつか入ってみたかったお店。
「おやおや、このような所に入れるほど給金があるとは、私も義勇軍に移りたいものだ」
「そんなはずは……まさか軍のお金をごまかして……」
ありえない。仮にも義勇軍の将がそんなことをするなんて。
「とりあえずここに立ち入れば現行犯で捕まえられるのでは?」
そうだ。これなら証拠も確実に突きつけられる。問い詰めて、お説教と、お仕置きも追加しよう。
「はい。では入りましょう」
何故か星さんはにやにやしているが、人の不幸は蜜の味ともいうしそんなに楽しいのだろうか。
手に汗を握りながら店の門をくぐる、と同時に、
「尾行ごくろうさん」
「はわわ!」
こらえきれず大声で笑いはじめる星さんと、呆れ顔で苦笑する秋斗さんに挟まれた。
驚いて腰を抜かしてしまった私を連れて、奥の部屋で説明を聞くことになった。
「もう! こういうことはちゃんと報告してくだしゃい!」
私は怒っている。
噛んでしまったのはそのせい。最近噛むことが無くなってきたというのにまた出てしまった。
「本当にすまない」
謝る彼
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