第四十四話 少年期【27】
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」みたいなことを言っていたと思います』
「箒で修羅場…」
『図書館でけんかはだめなので、先ぱいにちきゅうやでかりて、けんきゅうしていたマンガを見せました。ほうきのお姉さんにも1さつかしてあげました。2人でマンガをずっと読んでいたら、先ぱいが「わたしがまちがっていたわ。……ほうきってとべるのね」とみとめ、それにお姉さんが「い、いいのよ。ほうきのみりょくがわかれば」とマンガの服の部分をじっと見つめながら、2人はなか直りしていました。なか直りの印に、ほうき体けんをするそうで、先ぱいたちとおわかれしました。とべたらいいなと思いました』
……彼女は、手のひらでそっと自身の目を覆った。全ての原因と元凶が判明した瞬間だった。
赤毛の髪を持ったクラ校の常識人にして、子どもたちのお母さんであるティオール。少年Bやティオとみんなから呼ばれる少年は、日々ボケたちとの戦いを繰り広げていた。先生としては、たぶんこの子がいなかったらさらに収拾がつかなかったと思っており、それは彼も同様である。お互いになんか戦友のような気持ちを持っている、そんな不思議な関係であった。
『習い事の帰りに、「ほうきで空をとぶのはいいわね」と会話をする人たちとすれちがいました。2人の手には、しっかりほうきがにぎられていました。その内の1人は、学校の先ぱいで、もう1人はものすごくほうきについて熱く語っていました。……じょうしきってなんなんだろう。ほうきはとぶものだったのかな。ぼくのじょうしきは、まちがって……いたのかなぁ』
「あなたの常識は間違っていないから自信を持って!」
作文の後半に、涙をふき取った後の様なものを発見する。先生は朝一番に、カウンセリングをすることを心に誓ったのであった。
「あははは、うん。今年も頑張ろう私。負けるな私。えいえいおー」
「だ、大丈夫か?」
仕事が終わり、様子を見に来た彼が入れてくれたホットコーヒーを飲みながら、先生として気合を入れる。若干棒読みになってしまっていたが、さすがに彼もそこはツッコめなかった。
1年経って進級しようと、2年生初っ端からかっ飛ばしてくる子どもたちに負けないよう、明日も先生は頑張るのであった。
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