第四十四話 少年期【27】
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「えっと、デバイス貸し出しの申請書は出したし、1年生オリエンテーションの案内図の作成も大丈夫…」
明るい橙色の髪を後ろで一つ括りにした女性は、ふぅと小さく息をつく。ようやく仕事が一段落したことに、彼女は腕を後ろに真っ直ぐに向け、ぐっと身体を伸ばした。普段の仕事場での彼女を知っている人が見れば、いつもの大人な態度とは違い、幼さが見えただろう。
仕事を始めて4年目。就業年齢の低いミッドチルダの現状に漏れず、彼女もまた17歳という若さで初任者として仕事に就いていた。今年で21歳になり、まだまだ若輩ながら、先輩たちに助けられながらも、この4年間を過ごしてきたのだった。
校務で担当になった始業式も滞りなく終わり、冬があけた4月。そして、新学期が始まって3日目。彼女が受け持っていた児童たちは、みんな元気な姿を見せてくれた。……そう、本当に相変わらず元気だった。彼女が若干遠い目をしてしまったのを、一体誰が責められようか。
「仕事は終わったのか」
「あ、うん。校務関係はこれで終わり。これで子どもたちのことに心置きなく取り掛かれそう」
リビングに入室した男性に、アルヴィンたちから「先生」と慕われている女性は笑顔を向けた。あまりにリラックスした姿を見せていたので、慌ててきちんと椅子に座り直しておく。頬が少し赤かった。
学生時代からの付き合いで、彼女の夢を応援し、そして今は彼女が教師として頑張っているのを男性は知っている。だから二人きりになっても、仕事の話が付いてくるのは仕方がないと割り切っていた。男性も負けず劣らずの仕事好きなため、お互いに話せる範囲で、よく仕事のことで会話をしていた。
「管理局の仕事はどう? この時期は忙しいでしょ」
「そうだね、この時期が忙しいのはどこも同じだよ。僕は事務処理担当だから、相変わらず書類に埋もれている。企画書だったり、訓練施設のスケジュール設定に、電話対応ってね。……まだ今日中に、明日のための書類を作らないといけないとか」
「……お互いに、まだまだ頑張らないとね」
「あぁ。地上部隊の第3回上映会の企画書に、管理局野球会の施設利用のスケジュールに、とあるお店の前に置いてあるオブジェ撤去願いの電話対応とか。……本当に頑張るよ」
管理局は、違う意味で結構フリーダムになっている気がした。
「そういえば、今年も去年と同じクラスを受け持つことになるんだよね」
「えぇ、クラス編成は2年に1度だから」
彼女は口元に小さな笑みを浮かべる。彼女はもう1年、子どもたちを受け持つことに不満はない。みんなパワフルで、何をしでかすかわからなくて、自由人過ぎて大変なことは事実だ。他のクラスと違い、変……独特な空気がこの1年で完全に形成されていったのも事実。こちらも違う意味でフリー
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