6夢
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起きない。
何回呼んでも返事がない。
「全く……」
お前が起きなくて誰が怒られると思ってんだよ。
階段を駆け上がり、部屋のドアを勢いよく開け放った。
「お・き・ろ!!」
返事がない。
ただの屍のようだ。
……って、遊んでる場合じゃない。
「遅刻するぞ」
布団を剥ぎ取る。
そしてそのまま、動けなくなってしまった。
「何だよ……これ」
だってそこにあったのは、血の海だったんだから。
*
姫が行方不明になった。
朝一番に聞いたのは、そんな話だった。
姫のお兄ちゃんが朝起こそうとして、その時にはもう姿がなかった。
謎の血溜まりだけ残して。
……それって、どういうこと、かな?
死んだの?
殺されたの?
ううん、そんなことは絶対に信じない。
絶対に。
「うるさいよ獄寺夫人。そのすすり泣きを今すぐやめて」
「今ふざけてる場合なの!? 姫がいなくなったんだよ!? 死んだかも……しれないんだよ」
「変な憶測は止めてください!!」
柄にもなく声を荒げた。
「姫は生きてます。絶対に見つかります。私たちが信じなくて誰が信じるって言うんですか。……私たちは、姫の親友でしょ?」
「そう……だね。ごめん」
私たちは姫の大切な友達。
姫は、私たちの大切な友達。
信じなきゃダメなんだ。
「獄寺、私たちも探そう」
「分かったけど獄寺って呼ぶの止めて」
*
「ダメだ、手がかりがない」
放課後、姫の家族に会って心当たりを聞いてみたり、そこに行ってみたりしたものの、姫を見つけることはできず、手がかりを掴むことすらできなかった。
結局、姫を探すのは明日に持ち越しになった。
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