白馬長史の友達
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だ!」
「まあ確かにお人よしで流されやすいですな」
バカとは牡丹のことだろうことは分かる。あれも頑張っているというのに報われないことだ。
彼はそういう一面が大きい。面倒見が良く、誰に対しても優しく、頼みごとを断れない所がある。
「だろう? なぁ、星みたいに私のになれよぉ!」
「い、いえ、私は」
甘ったるい声で赤い顔をしながら彼の肩を揺すり言う。
しかし私はあなたのモノになった覚えはないが。
「……ちがうのか?」
「そんなどん底のような顔をしないでくだされ」
私の言葉にピタリと揺するのを止め、ギギギと音が聴こえそうな動きで首を捻る。
その表情は驚愕と落胆と絶望に染まっていた。
「……星が私の友じゃないって言う」
「そっちでしたか」
彼に涙目ながらに擦り寄っての発言は、さすがの秋斗殿も動揺を隠せない様子。
まさか友になれという事だとは思わなかったのだから仕方ないでしょうに。
「私の友じゃなかったんだ!」
「いえあなたとは確かに友ですよ。」
このままではきっとまた泣き出すと分かったので急いで言うと、ぱぁっと表情が明るくなった。
「っ! そうだよな! だからお前も友になろう!」
「クク、お前達はおもしろいな。俺の真名は秋斗。これからよろしくな」
「秋斗殿、酔っておられるのか?」
まさか真名まで預けるとは思わなかったので突っ込むと、ふるふると首を振って否定する。
「ふふ、真名は白蓮だ。星だけずるいもんな秋斗」
「何がずるいのです?」
「私たち二人を独り占めにしていた」
聞き返すととんでもない事を言い出す。私が二人を独占していたなどと……まあ、確かに私は二人の新しい友を得た事で満たされていたが。
「ああ、白蓮。確かにそれはずるいな。きっと星は優越感に浸っていたことだろうよ」
「両手に華は秋斗殿でしょう」
「そうだな、よろこべ秋斗!」
にやりと笑いこちらをけなしてきたので、私も笑い返していじわるを言ってみるとどうやら白蓮殿は味方に付いてくれるらしい。
「フフ、存外、いいものですな。このような時間も」
彼に向かってそう言うととやれやれというように苦笑してから酒を飲み干した秋斗殿は、空いた杯に酒を満たしてから私達の分も注いでくれた。
「おい、星! もっと飲むぞ!」
「はいはい……」
こうして楽しい酒宴の夜は深まって行く。
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