第二章 風のアルビオン
第五話 ウェールズ・テューダー
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い。
しかしルイズは動かない……いや、動けない。体の痛みではなく、士郎が死んだと言うワルドの言葉で、ルイズは動けなくなっていた。
呪文が完成し、ワルドが杖を振り下ろそうとした瞬間、ルイズは絶叫した。
「シロウッ! 助けてっ!!」
その瞬間、ルイズの絶叫と共に礼拝堂の扉が吹き飛び、外から赤い影が飛び込んできた。
「まさか、ありえない……」
ワルドが呆然と呟く。
扉を吹き飛ばし、間一髪飛び込んできた士郎に気づいた瞬間、ワルドは振り下ろすハズだった杖を力なく垂らした。
「シロウ……」
ルイズは呆然と士郎の姿を見つめている。涙でぼやけてしまうが、それでもしっかりと士郎を見つめる。
「シロ――」
士郎に声を掛けようと、ルイズが口を開くと同時に、礼拝堂の裏から四人のフードを被ったメイジが現れた。
「ワルド様、大丈夫ですか」
「作戦は失敗です、あいつ化け物だ、全員やられました!」
「お前たち、失敗したのか! 馬鹿な! 十四人もいたんだぞ!」
「すみません、しかしここで……っ!」
現れた四人のメイジは、急いでワルドの前に出ると、壊れた扉の前で、何故か身動きもせず立ち尽くす士郎に杖を向けた。
ルイズの危険に気付いた士郎は、目に映った光景から礼拝堂と当たりをつけ、礼拝堂に向かって急いだ。
走る勢いそのままに、士郎は礼拝堂の扉を破壊し、中に飛び込んだ瞬間。士郎は目に入った光景を見て立ち止まった。
「ウェールズ……?」
また……か……
―――何度も考えた……私がただの下級の貴族だったら、ただの平民だったらと―――
また……だな……
―――しかし、今はなぜか、そんな考えは全く出てこないんだよシロウ―――
俺は……間に合わない……
―――私は彼らと最後まで戦うっ! 私の誇りたる彼らと共にっ!―――
気付いた時には……既に手遅れ……
―――シロウ、頼みがある……ウェールズは勇敢に戦い、勇敢に死んでいったと。アンリエッタに伝えてくれ……それだけで十分だ……―――
伸ばした手が……届かない……
「死ねっ化け物が!」
「これで終わりだ!」
「死ね!」
呆然と立ち尽くす士郎に、三人のメイジが襲いかかる。
その瞬間、ワルドは氷の塊を背中に押し付けられた様な寒気を感じ、咄嗟に後ろに飛ぶ。
三人のメイジが、士郎との距離を半分に詰めた瞬間。ドンッ! という爆発の様な音と共に、士郎の姿が消えた。
「はっ?」
「ぺっぇ?」
「かっ?」
あまりの速さに、自分がどうやって倒されたか
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