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剣の丘に花は咲く 
第二章 風のアルビオン
第五話 ウェールズ・テューダー
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の手紙だ」

 ルイズはハッと何かに気づき、後ずさった。

「ワルド、あなたまさか……」
「そして三つ目……」

 ルイズの態度に何も反応せず、ワルドは言葉を続ける。そして、ワルドの『アンリエッタの手紙』という言葉で、全てを察したウェールズが、杖を構えて呪文を詠唱し始める。
 しかし、ワルドは二つ名の閃光のように素早く杖を引き抜き、呪文の詠唱を完成させた。
 ワルドは風のように身を翻らせ、ウェールズの胸を青白く光るその杖で貫いた。

「き、貴様……“レコン・キスタ”……」
 
 ウェールズの口から、どっと鮮血が溢れる。ルイズは悲鳴を上げている。
 ワルドはウェールズの胸を光る杖で深々とえぐりながら呟いた。
 
「三つ目……貴様の命だ。ウェールズ」

 どうっ、とウェールズは床に崩れ落ちる。

「貴族派! あなた、アルビオンの貴族派だったのね! ワルド!」
 
 ルイズは怒りで震えながら怒鳴った。
 ワルドはルイズの言葉に全く反応せず、冷たい声で応える。

「どうして! トリステインの貴族であるあなたがどうして!?」
「我々はハルケギニアの将来を憂い、国境を越えて繋がった貴族の連盟さ。我々に国境はない」

 ワルドは再び杖を杖を掲げた。

「ハルケギニアは我々の手で一つになり、始祖ブリミルの降臨せし“聖地”を取り戻すのだ」
「昔は、昔はそんな風じゃなかったわ。何があなたを変えたの? ワルド……」
「ふんっ、月日と、数奇な運命の巡り合わせだ。それが君の知る僕を変えたが、今ここで語る気にはならぬ。話せば長くなるからな……」

 ルイズは思い出したように杖を握ると、ワルドめがけて振ろうとした。しかし、ワルドになんなく弾き飛ばされ、杖と共に床に転がった。
 
「っう……たす、けて……シロウ……」
 
 ルイズは蒼白な顔になって後ずさる。立とうと思っても、腰が抜けて立てないのだ。
 ワルドはルイズの言葉を聞くと、意地悪く笑い首を振った。

「彼はこないよ……今はもう死んでいるだろうな……」
「えっ……どういう……こと……?」

 ルイズの理解できないと言った言葉を聞いたワルドは、杖と言葉をルイズに突き付ける。

「彼はもう死んでいるよ。彼に邪魔されては困るからね、同士に彼を襲わせている。いくら彼が強くとも、十四人のメイジに一斉に襲われればひとたまりもないだろうね」
「そんな……嘘よ……」
「嘘ではないよ……残念だよルイズ、君とならば僕は……」

 呆然とした顔を伏せ、震えるルイズを見下ろしながら、ワルドは呪文を詠唱する。

「助けてよ……シロウ……」

 ワルドは淡々と詠唱を続けている。呪文は“ライトニング・クラウド”だ。風系統の上級魔法で、まともに受ければ命はな
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