第二章 風のアルビオン
第五話 ウェールズ・テューダー
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」
いきなりの展開に、ウェールズは首をかしげた。
「新婦はこの結婚を望まぬのか?」
「そのとおりでございます。お二方には、大変失礼をいたすことになりますが、私はこの結婚を望みません」
ワルドの顔に、さっと朱がさした。ウェールズは困ったように首を傾げると、残念そうにワルドに告げた。
「子爵、誠にお気の毒だが、花嫁が望まぬ式をこれ以上続けるわけにはいかぬ」
しかし、ワルドはウェールズに見向きもせずに、ルイズの手を取った。
「まだそんなことを言うのか君は……緊張しているだけなんだろうルイズ。きみが、僕との結婚を拒むわけが……」
「ごめんなさい。ワルド。憧れてた。もしかしたら、恋だったのかもしれない。でも、今は違うわ」
するとワルドは、目をつり上がらせると、先ほどまでの優しい表情を、冷たくトカゲのような何かを思わせるものに変え、ルイズの肩を掴んだ。
そして、熱っぽい口調でワルドは叫ぶ。
「世界だ! 世界だルイズ! 僕は世界を手に入れるんだ! そのために君が必要なんだ!」
豹変したワルドに怯えながら、ルイズは首を振る。
「……なに? なにを言っているのワルド?」
ワルドは両手を広げると、ルイズに詰め寄った。
「僕には君が必要なんだ! 君の能力が! 君の力が!」
ワルドの剣幕に、ルイズは恐れをなした。優しかったワルドがこんな顔をして、叫ぶように話すなんて、夢にも思わなかった。ルイズは後ずさる。
「ルイズ、いつか言ったことを忘れたか! きみは始祖ブリミルに劣らぬ、優秀なメイジに成長するだろう! 君は自分で気づいていないだけだ! その才能に!」
「ワルド、あなた……」
ルイズの声が、恐怖で震えた。ルイズの知っているワルドではない。何が彼をこんな物言いをする人物に変えたのだろう?
「ま、こんなものか」
刺客が倒れている中、士郎はデルフリンガーを鞘に収めた。
「いや〜。いつもながら相棒は信じられない奴だな……メイジ十四人を倒すなんて……相棒?」
唐突に士郎が訝しげな顔をし、左目を手で抑えるのを見たデルフリンガーが、疑問の声を上げた。
「左目が変だ……っまさかこれは」
―――使い魔は、主人の目となり、耳となる能力を与えられるわ―――
士郎が左手のルーンを見ると、武器を握っているわけではないのに光り輝いていた。
ルイズが言っていたのはこのことか? しかし、なぜ、急に……まさかっ!
士郎は何かに気づくと、ルイズの下にいくため走り始めた。
ルイズに対するワルドの剣幕を見かねたウェールズが、二人の間に入る。
「子爵……君はフラれた
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