第二章 風のアルビオン
第五話 ウェールズ・テューダー
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士郎はデルフリンガーと話をしながらも、飛んでくる“ウィンド・ブレイク”をよける。
「懐かしいねぇ。泣けるねぇ。そうかぁ、いやぁなんか懐かしい気がしてたが、そうか。相棒、あの“ガンダールヴ”か!」
「俺以外に“ガンダールヴ”がいるのか?」
「嬉しいねえ! そうこなくっちゃいけねえ! 俺もこんな格好してる場合じゃねえ!」
「話聞いてないな……」
叫ぶなり、デルフリンガーの刀身が光りだす。
士郎は一瞬、デルフリンガーに目をやると、静かに呟く。
「やっとか……なら、ならお前の力、見せてもらうぞっ!」
士郎は光り輝くデルフリンガーを向かってくる魔法に向けると、魔法は刀身に吸い込まれる。
そして、デルフリンガーは今まさに研がれたかのように光り輝いていた。
「破魔の剣……それがお前の本当の姿か……」
「ああ! ああそうさ! 相棒! これが俺の本当の姿さ! いやぁ、てんで忘れてた! そういや、飽き飽きしてた時に、テメェの体を変えたんだった! なにせ、面白いことはありゃしねえし、つまらん連中ばっかれりだったからな!」
「早く思い出しておけよ」
「しかたがねえだろ。忘れてたんだから。でも、安心しな相棒。ちゃちな魔法は全部、俺が吸い込んでやるよ! この『ガンダールヴ』の左腕、デルフリンガーさまがな!」
「はっ! ならばその力、存分に使わせてもらおう!」
士郎はデルフリンガーを構え直し、戸惑う刺客たちの中に飛び込んでいく。
「新婦?」
ウェールズがルイズを覗き込んでいる。ルイズは慌てて顔を上げた。
式は自分の与り知らぬところで続いている。ルイズは戸惑った。こんな時頼りになるルイズの使い魔はここにはいない。
「緊張しているのかい? 仕方がない。初めての時は、ことがなんであれ、緊張するものだからね」
にっこりと笑うと、ウェールズは誓いを再度続けた。
「まあ、これは儀礼に過ぎぬが、儀礼にはそれをするだけの意味がある。では繰り返そう。汝は始祖ブリミルの名において、このものを敬い、愛し、そして夫と――」
ルイズは気付く。誰もこの迷いの答えを教えてくれはしないと。
自分で決めねばならぬのだ。
ルイズは深く深呼吸し、決心する。
ウェールズの誓いの言葉を、ルイズは首を振り遮る。
「新婦?」
「ルイズ?」
二人が怪訝な顔でルイズの顔を覗き込む。ルイズは悲しい表情を浮かべると、ワルドに向き直り、再び首を振った。
「どうしたね、ルイズ。気分でも悪いのかい?」
「違うの。ごめんなさい……」
「日が悪いなら、改めて……」
「そうじゃない、そうじゃないの。ごめんなさい、ワルド……わたし、あなたとは結婚できない
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