第二章 風のアルビオン
第五話 ウェールズ・テューダー
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の手に、いつの間にか漆黒の弓を手にしていたからだ。
しかし、次の瞬間、訝しげな顔をしていたルイズの顔が恐怖に引きつる。
「投影、重装」
……さて。
「I amthe bone ofmy sword」
―――覚悟はいいか“レコン・キスタ”
「何……あれ……?」
ルイズの胸中に渦巻く混乱は、士郎の手に現れた歪に捻れた矢に、今までで感じたことのない程の恐怖によって払われた。
その矢を見た瞬間、ルイズは死を認識した……歪な矢に感じる莫大な魔力、脅威、威圧感……そのどれもが理解できなかった……、ワルドから感じた死の恐怖、それがそよ風のように感じるほどの恐怖を感じる。
あれは何……?
理解できない?
分からない?
何なの?
あれは一体ッ―――何なのよッ!?
「ハアッハアッハアッ……一体あいつは何なんだ……!? 何者なんだアレはッ!?」
ワルドはレコン・キスタの船に乗り込むことに成功すると、舷側に膝を屈しながら寄りかかった。
「違う……違うっ……あんなものが“ガンダールヴ”のはずがない……ッ! あれは違うっ!? 一体なんなんだアレはッ!?」
ワルドは残った右腕で必死に体を抱きしめると、顔を俯かせブツブツと呟き続ける。
最初ワルドは、士郎のことをただの平民がルイズに召喚され、“ガンダールヴ”になっただけのものと考えていた、よくて精々傭兵程度だろうと。しかし、この旅の間、自身のみならず“ユビキタス”の分身をぶつけたが、そのことごとくがあしらわれてしまった。焦ったワルドは、必殺の思いでニューカッスルに侵入していた“レコン・キスタ”の仲間に命令し、士郎を襲わせたのだが、その必殺の罠さえ士郎は破ってみせた。
そして止めは先ほどの士郎の動き、礼拝堂に現れた士郎の動きは常軌を逸していた。一瞬でメイジ三人を昏倒させただけでなく、“ユビキタス”の六人の分身さえ数秒で消し飛ばした。
ワルドは信じていなかったが、伝説に言う“ガンダールヴ”は、千人の敵を打倒したと言われる。そして、士郎の動きはそれを信じさせるだけの強さがあった。
だが、だからこそワルドは恐怖に襲われる。
“ガンダールヴ”の力を振るう際、奴の手のルーンが輝いていた。その光が強ければ強いほど奴の動きは早くなった……なのに……!
「光っていなかった……ルーンは殆ど光っていなかったのに……」
自分の考えが間違っていたのか、そもそもルーンが光るのは関係なかったのか、それとも何かを見落としていたのか、それとも……
「……まさか、奴は……あの時、“ガンダールヴ”として
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