出会ったのは雛鳥
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て、子ども扱いして頭まで撫でるなんて。
「失礼な人でしゅ……」
零れた独り言に慌てて口を塞ぐ。
ちょっと怒っているからか噛んでしまった。卒業したらまず噛み癖を治さないと。
少し時間が経ってから戻ろう。旅人さんなら街を散策するだろうしもう会うこともないはず。
†
旅に入用なものは大概そろっていた。
巾着袋を見るとこの時代のお金がたんまりと詰まっていた。これだけあればしばらくは何もしないでも過ごせるだろう事が分かる。
その他にも寝袋や簡易の手鍋、小刀などなど。そして最後に武器を手に取り、自身の命を守るであろうそれの確認を行う。
「ふむ。武器はこれか。」
長い、ホントに長い。刀のような剣のようなよくわからないもの。普通の人より大きな身体をしている自分の身長よりも長い。
ふと思い立って鞘付きで一振り縦に振る。嘶く風切り音は尋常じゃなく、地の埃を巻き上げて一筋の風が真っ直ぐに流れて行った。
あまりの異常さに目を丸くしてしまったが、どうにか持ち直し何度か軽く型や頭に思い浮かんだ技の動きなどを繰り返す事半刻。
しばらく身体動かし、前までの身体能力と比べてみて遥かに違和感があるので確信に至る。
夢のことは半信半疑だったが武器の使い方もわかり、身体も前より軽いので信じるしかなくなった。
これで乱世の中で戦わなければならないことが確実になったという事を。
あの白の世界で聞いた少女の言葉が頭をかすめる。
『最終的に世界を変える気がないと判断された場合は上位意志の介入によってその世界自体が殺されます。その世界の生物全てが最も苦しむ形で……ね。』
ゾクリと一つ寒気がして鳥肌が立った。本能的な死への恐怖から来たのか、それともあの少女に対するモノなのかは分からないが、きっと両方だろう。
つまり殺さなくてもいいし逃げ続けてもいいが、結局全部を殺しちまうしこの世界にいる俺も死ぬ。俺のせいでみんな死ぬ……
悪い方向にしかいかない思考を振り切るために頭を振り、現状できることをして行こうと考えてみる。
いかんいかん! ネガティブになろうが来るもんは来る。ならできることしねーとな!
まずは――
「腹へったなぁ……」
死んだと言っても一応甦ったからか普通の人間と同じように腹は減るらしい。腹ごしらえついでにこのあたりのことでも聞いておこう。
適当なものを食べて店主や客と話していろいろとわかった事がある。
ここは荊州の襄陽であり近くに有名な私塾があること。
この辺りは州牧である劉表が少し贔屓にしているらしく、ある程度平和で賊もほとんどいない。
しかし他の地域では飢饉や疫病、難民の増大、上層部への不満などにより最近特に賊が増えている。
曹操が出世した。
天の御使いが乱世を治
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