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東方虚空伝
第二章   [ 神 鳴 ]
二十六話 神々の戦 風雨の軍神
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るなんて人が悪いな…この場合は神が悪い?」

 そんな僕の問いに神奈子は、

「切り札は隠すものだろ?これは天逆鉾(あめのさかほこ)って言う神器さ。それに人が悪いなんてあんたにだけは言われたくないね」

「非道いなー…でもそうかもね」

「だろ?」

「「 アハハハハハハハッ!! 」」

 殺伐とした空気がほんのひと時霧散した。もしかしたら僕と神奈子は結構気が合うのかもしれないな。でも今は敵同士、倒す事だけ考えよう。
 そして神奈子が槍を投槍のフォームで構えるとその槍が暴風と激しい雷撃を撒き散らし始めた。
 僕の頭上の星もそれに合わせる様に荒れ狂う。
 合図など何も無かったが僕と神奈子はほぼ同時に攻撃を繰り出した。暴威の星は彗星となって、神槍は流星となって互いを目掛けて翔けていく。僕と神奈子が放った攻撃が正面からぶつかり合う。
 暴力が塊となった凶星と轟風雷威を纏う神槍が凄まじい轟音と衝撃を放ちながら互いの存在を打ち消しあいながら狂乱する。
 しかし激しくぶつかり合っていた凶星が何かが砕け散る音と共にいきなり消失した。

「はっ?」

 それ見た神奈子が間の抜けた声を出す。
 槍は幾らか威力が衰えたがそれでも尚凄まじい力を放ちながら目標である虚空に迫るが――――何か目に見えない力場に弾かれその軌道を大きく狂わしながら虚空を掠る事もないまま彼方へと飛んでいった。
 その光景に唖然となっている神奈子を僕は引力で引き寄せると同時に自身も踏み込むと刀と嫉妬(レヴィアタン)を一気に振り抜いた。
 一瞬遅れて神奈子の身体に十字の剣閃が奔り鮮血が舞う。

「君の言う通り、切り札は隠さないとね」

「ガフッ!!……やって…くれる…じゃないのさ……」

 神奈子はその言葉を吐くと意識を失い地上に落ちていった。
 憤怒(サタン)での攻撃は元々囮。一撃勝負なんて言ったのも神奈子に隙を作る為だ。卑怯な方法だけど今更取り繕う様な尊厳も無い。僕は狡賢い人間なのだ。
 こうして僕と神奈子の戦いは決着した。




□   ■   □   ■   □   ■   □   ■   □   ■




 虚空と神奈子の決着がつく少し前。諏訪子と天照の戦いは諏訪子が押し始めていた。
 地上から放たれる無数の杭が天照が造った炎壁を貫通し傷を負わせていく。諏訪子自身も傷を負ってはいるがそれ以上に天照の消耗は激しかった。
 このまま諏訪子が押し切るかと思われた時予想もしないものが戦場になだれ込んできた。それは波濤、いやもはや津波だ。
 三十メートルを超える巨大な津波が森の木々を薙ぎ倒し、飲み込みながら諏訪子に迫ってくる。
 諏訪子は咄嗟に上空に飛び上がり津波を回避するが―――――――その津波の中から飛び出し
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