第二十六話 〜夜に舞う喋 前編【暁 Ver】
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年以上前から隊長陣のデバイスを看てきて下さっているの」
フェイトさんはそこまで告げるとシグナム副隊長へ視線を送る。
「地上でのご用事があるとのことで暫く六課に滞在していただくことになった」
フェイトさんから引き継いだシグナム副隊長がそんな言葉で締めくくった。ご用事、ね。いや、スバルから聞いていた通りの人なら信頼出来る。戦闘機人であるスバルやギンガさんが好奇の視線に晒されることなく今までこれたのは、この人が尽力してくれたからだと聞いている。
思い思いにストレッチを始めたあたし達へヴィータ副隊長が声を掛けて回る。いつもの早朝訓練の始まりだ。アスナは特に何をやるわけでもなく、海の彼方に揺らめく蜃気楼をただ、見つめていた。
「あの、なのは……彼女は?」
そんなアスナを不審に思ったのだろう。アテンザさんが、なのはさんへ声をかけた。なのはさんは彼女の視線の先にいるアスナを見て少しだけ笑う。
「気になりますか?」
「気になると言うか……他の娘と服装も違うし……」
今日のアスナは烏のように全身真っ黒だ。タンクトップ、カーゴパンツ、訓練用のブーツまで。唯一、靴紐だけが赤い。誰の影響かなんて言わずとも知れている。
「ウチの問題児です」
「へ?」
なのはさんの言葉にアテンザさんは目を丸くする。なのはさんは、やっぱり──── 笑っていた。
さて。ここで面白い話が出来ればいいのだけれど、生憎と笑いの神様は都合よく降りては来ない。もしかしたら降りてきていたのかも知れないが、訓練に巻き込まれ誰かに殴られたか蹴飛ばされたかした為に、違う場所へ着地してしまったらしい。
なのはさんの一言で決まったスバルとギンガさんの模擬戦という名のサプライズは、何時までたっても勝敗が決まらない有り様で、周囲の森を環境破壊した挙げ句に、両者がぼろぼろになりながら高笑いを始め、アスナが退屈そうに大欠伸をかましたところで、なのはさんが止めに入った。
その後に行われた最早、様式美になりつつある昔の魔法少女VS現役魔法少女と言う対抗戦は、アスナが味方である筈のギンガさんの後頭部へ、いい感じにハイキックを叩き込んだところで幕を閉じた────…
「で? アスナちゃん、今度は何やらかしたんや」
「はぁ」
現在、アスナは隊舎ロビーの片隅で正座させられている。その前には、なのはさんとフェイトさんが腕を組んで仁王立ちしていた。
「反省してる? アスナ」
「……ちょうどいいぐあいに、うしろあたまがあったので」
「そっちはいいよ」
ギンガさんの後ろ頭に蹴りを叩き込んで風車のように一回転させたのは問題
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