第二十五話 〜Mother&Children or Family【暁 Ver】
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と提督という堅苦しい間柄ではなく──── 幼い頃からの友人。そんな姿だった。
「えっ。それじゃ、なのはさん……ヴィヴィオを引きとるんですか」
「仮、だけどね」
六課女子寮へと続く並木道を、なのはとスバルが肩を並べて歩く。他愛のない世間話からヴィヴィオへ話題が移った時。スバルが驚きの声を上げた。
「ヴィヴィオは……引き取り手を探すのが難しいと思うんだ」
「あ……」
ヴィヴィオは出生記録を含めた戸籍が存在しない。この世には存在しない人間なのだ。管理局で用意することも出来るが、様々な問題をクリアする必要がある。スバルは改めて、父と今はもういない母に感謝した。
「それを考えると、わたしが引き取ったほうがいいのかなって。一般家庭を探すよりも、わたしの方が色々と融通が効くしね」
「義務感、ですか」
「違うよ」
スバルの問に即座に答えた高町なのはは。真っ直ぐにスバルの瞳を見つめる。
「さっき言った理由なんて唯のいいわけ。わたしがそうしたいって思ったから。……ヴィヴィオの傍にいてあげたいって思ったから。理由なんてそれだけで十分なんだよ、たぶんね」
そう言って、なのはは柔らかく笑う。再び歩き出したなのはの背中を、スバルは足を止め暫し見つめる。その後ろ姿に──── 母が重なった。
「ん? どうしたの、スバル」
──── どうしたの? ギンガ、スバル
「いえ、何でもありませんっ」
スバルは慌てたように走りだす。その背中へ。
──── 母さんも。なのはさんみたいな気持ちだったのかな
それは最早、スバルが知ることは叶わない。だけど、きっと。
「これが、メモリーチップ。重要なデータだから気をつけてね」
「はい」
アコース査察官の男性にしては細い指先から、メモリーチップを受け取る。今回は、これを受け取るのも目的の一つだった。
八神部隊長とハラオウン提督は、少し話すことがあると言うので、あたし達は一足先に離席した。清潔ではあるが、無機質なクラウディアの長い廊下をアコース査察官と歩く。アスナは先程から餌を探すシマリスのように、ちょろちょろと動き回っている。アコース査察官は、そんなアスナの姿を微笑ましげに見ていた。
今回の同行は、純粋に来てよかったと思わせるものだった。ハラオウン提督からの執務官試験へ向けてのアドバイスや、実践的な捜査方法のノウハウ。ちょっと表には出せないような裏話。あたしにとってはどれも新鮮で、糧となったのは間違いない。時折、こちらを探るような質問があったが、無難に答えておいた。場数を踏んでいるのは伊達ではないらしい。
アコース査察官は、専ら聞き手に徹していたが、合い
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