第二十五話 〜Mother&Children or Family【暁 Ver】
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「え、えっと。どうしたの? スバル」
「データの処理、終わってますよ」
「え? あ。ご、ごめんね」
なのはは流れるような手つきで、端末を操作し開かれていたウィンドウを瞬く間に閉じていく。スバルはスクリーンに表示されていたヴィヴィオの姿を見逃さなかったが、敢えて何も聞かなかった。なのはが端末を操作し終えるのを待っていたかのように、オフィスに休憩を告げるチャイムが響き渡る。
「お昼かぁ。わたしは女子寮に戻ってヴィヴィオと一緒に食べるんだけど……スバルもどうかな」
「はい、御一緒させていただきます」
「そうか……それじゃ、全てを話したわけじゃないんだな」
「うん。カリムの『予言』の部分はぼかしとる。飽くまで、襲撃を受ける可能性がある。っていう感じで。隠し事はあまりしたくないんやけどな」
応接室には既にティアナ達の姿はなく、八神はやてとクロノ・ハラオウンだけが残っていた。二人の表情は決して明るいものではなかった。
「苦労をかけるな」
「ううん、ええよ。……査察を回避できたのも、クロノ君が手を回してくれたんやろ? 十分や」
「理由が言い掛かりに近かったからな。彼は随分と六課が嫌いらしい」
「仕方ないわ。結果的にとんでもない戦力を保有しとるからな。危険視するのは当然や。ところで、どうやった? ティアナとアスナちゃんは」
「ティアナは年齢よりも大人びた印象だったな。普通、新人は僕の前に来ると緊張するんだが……受け答えもはっきりしていたし、肝が座ってる。言い方は悪いが、腹の探り合いに慣れている感じだった。大物になるぞ。……アスナは」
クロノ・ハラオウンはそこまで言うと黙りこむ。言葉を探している。そんな風情だった。
「頭がいいな。あの娘は」
クロノの言葉を聞いたはやてが、目を丸くする。驚いたのも無理はない──── 自分と同じ印象を抱いたのだから。
「言動や行動は、突拍子もないが……それも、どこか計算されているような……そんな感じがした。初対面である僕たちに対する最初の受け答えも、相手の反応を伺っているような節があったな。現に彼女は相手が不快になるような事を口にしなかった」
「彼女の処世術なのかも知れへん。そんな物をどうして身に付けなければいかんかったのかは、わからへんけどな。時々わかってやってるんやないかって思うことがあるんよ。そういう時は大抵……誰かの為だったりするんやけどな」
「不思議な娘だな。騎士カリムの気持ちがわかる」
「手、出したらあかんで?」
「勘弁してくれ、二児の父親だぞ」
「冗談やて」
ソファで向かい合わせになり軽口を言い合いながら、笑う二人にはもう暗い影は落ちていなかった。その姿は部隊長
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