第二十五話 〜Mother&Children or Family【暁 Ver】
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訝し気にアスナを見つめる。そして答えを求めるように八神部隊長へと視線を移した。八神部隊長は苦笑いだ。
「アスナちゃんは、なのはちゃんを先生呼ぶんよ」
「なるほど。教導官であるわけだし、間違いではないな。それにしても、なのはが先生か」
「びっくりやろ? どっちかって言うと鬼教官やな?」
「噂は聞いている。教導を受けた人間から押し並べて、悪魔と言われていると」
その時、あたしはアスナの胸に留められているフラッターが怪しげに点滅しているのを見逃さなかった。こいつ──── 録音してやがる。あたしは戸惑うことなくその事実を八神部隊長へ念話で伝えた。八神部隊長の笑顔が固まったかと思うと、一瞬で真顔になる。アスナの横顔をたっぷりと見つめた八神部隊長はアスナへこう切り出した。
「アスナちゃん今の会話、消して。お願いやから」
アスナは何も答えない
「ほんま勘弁して。ほら、クロノ君見てみ? お地蔵さんみたいになっとるやろ。なのはちゃんは、シャレにならん」
「……せんせいは、とっても優しいですよ?」
「アスナちゃんは、なのはちゃんの本性を知らんから、そないなこと言えるんやっ」
「八神部隊長、今のも録音されてます」
お腹を抑えて笑い声を上げているアコース査察官と、ティーカップを手にしたまま微動だにしないハラオウン提督。ソファの背もたれへ顔を埋めてしまった八神部隊長と、八神部隊長のショートケーキから何食わぬ顔をして苺を掠め取っているアスナ。あたしはそんな光景を見ながら、どうやって事態の収拾を図ろうかとティーカップへと口をつけた。
午前中に仕上げなければならない書類を何とか仕上げたスバルは、凝り固まった体を解すように伸びをすると同時に文字通り一息ついた。目の前に展開されているスクリーンをぼんやりと見つめながら、八神はやてと一緒に本局へ出向いたティアナとアスナのことを考えていた。
──── アスナ、失礼なことしてないよね
考え始めると、どんどん怖い方へ考えがいってしまうのを振り払うように頭を振る。自分がここで考えたところで何か出来るわけでもなし、何よりティアナが一緒に行っているのだから大丈夫だろうと、無理やり納得させた。
時計に視線を走らせると、そろそろ昼に差し掛かる頃合い。スバルが、さてどうしようかと考えた時に端末の警告音が聞こえた。自分のものではない。音の発生源を探るようにして首を巡らせると、聞こえていたのは高町なのはの端末からであった。
スバルがなのはの席へと近づいていくと、彼女は心ここにあらずと言った様子で、スクリーンを見つめている。スバルが声を掛けるが反応がない。今度は少々大きめに声をかけると、高町なのはは夢から醒めたようにスバルを見つめた。
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