暁 〜小説投稿サイト〜
空を駆ける姫御子
第二十五話 〜Mother&Children or Family【暁 Ver】
[7/13]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ているよ」

「……カリムと、おともだち?」

 ハラオウン提督は少しだけ考える仕草を見せた。だが、それも本当に少しだけだった。

「あぁ。騎士カリムは、僕の友人だよ」

「……あっちの、みどりは」

 八神部隊長が、凄い勢いで横を向く。肩が震えてますよ。

「緑って言われたのは初めてだよ。君のことは()()から知っている。はじめまして、ヴェロッサ・アコースだ」

「あぁ、そう言えば名乗っていなかったな。クロノ・ハラオウンだ」

「……はやてが、いつもお世話になっております」

「えっ。あぁ、うん。こちらこそ」

「面白い娘だねぇ」

 概ね同意します。それにしても……以前から知っていた?

「さて、立ち話もなんだからな。案内するよ、こっちだ」





 提督自ら案内してくれたのは、落ち着いた雰囲気がある応接室だった。応接室と言うよりも、ラウンジと言った方がいいかも知れない。品のいいソファとテーブル。これで窓から見える風景が絶景ならば、言う事はないんだけど。

 八神部隊長が嫋やかにソファへと腰をおろし、対面にはハラオウン提督が座る。アコース査察官は手ずからお茶の用意を始めた。驚いたあたしは慌てて駆け寄った。

「アコース査察官。お茶の用意なら自分が」

「ん? いや、気にしなくていいよ。君たちはゲストなんだから。ケーキ食べるだろう? 僕の手作りなんだけどね」

「いえ、自分は」

「……たべる」

 あたしの慌てた様子など知ったことではないと言わんばかりに、アスナは八神部隊長の隣へと座る。

「君も座ったら?」

 アコース査察官に促されるものの、どうしたら良いか暫し悩む。査察官にお茶の用意などさせてしまって良いのだろうか。

「しかし」

「ティアナのそういうところは、ええところやと思う。せやけど、遠慮しすぎは却って相手に失礼やで?」

「……『自分』とか、いつものティアナとちがう」

 こいつ、帰ったら絶対泣かしてやる。八神部隊長の言うことも一理あるかも知れない。そう考えたあたしは観念することに決めた。

「……わかりました」

 あたしは誰にも悟られないように溜息を一つ零すと、アスナの隣へと腰を降ろした。アスナは、自分の目の前に並べられた苺のショートケーキを子供のように頬張っている。

「どうかな?」

「……おいしいです。だけど、せんせいのとこのほうが、おいしい」

 この娘は一言多い。それを聞いた八神部隊長は破顔した。

「なのはちゃんのとこと比べたら、ロッサが可愛相や」

「そんなに美味しいのかい? 一度食べてみたいなぁ」

「先生?」

 あたし達の様子を楽しげに見ていたハラオウン提督が
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ