第二十五話 〜Mother&Children or Family【暁 Ver】
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の手のように入れてくるアドバイスは的確なものだった。軽薄そうに見える印象も地の部分はあるだろうが、何かしら理由があるのかも知れない。決して悪意がある人ではないが、油断ならない人。そんな印象だ。受け取ったメモリーチップを、アタッシュケースへ仕舞ったところで、こんな質問をされた。
「君は……ティアナ、だっけ。はやてをどう思う」
随分と抽象的な質問だ。……どんな答えを期待しているのだろう。
「優秀な、方だと思います。魔導師としての実力も人柄も」
優等生染みた答えだと我ながら思ったが、これはあたしの本心だ。
「そうだね……その通りだ。だけど、大きすぎる力は、孤独を呼ぶんだ」
あたしは、その言葉を聞いて。アスナの昔を思い出した。動く者がいなくなった訓練場にぽつりと立っているアスナの後ろ姿────
「だから、出来れば……上司と部下というだけではなく、友人として仲間として接して欲しいんだ。他の隊長陣も同じく。難しいと思うし、強請することでもない。だから、これは僕の願いだ。どうかな?」
「はい、勿論です」
今も殆どそんな感じですという言葉は飲み込んだ。あたしはアスナとは違うのだ。
「そうか、よかった。カリムと僕とはやては昔からの付き合いでね。はやては妹みたいなものなんだ」
どうやら、この人も。お兄さんに近い人種らしい。兄さんも……そうだったんだろうか。
「アスナちゃんは……お願いするまでもないかな」
アコース査察官と一緒に、廊下の隅にしゃがんで床に視線を落としているアスナを見る。
「それじゃ、アスナちゃんには『別』のお願いをしようかな」
別? アコース査察官がアスナに声を掛けると、アスナは子供のような足取りで近づいてきた。
「……なに」
「うん。アスナちゃんにお願いがあるんだけどな」
そう言われたアスナは何を答えるわけでもなく、アコース査察官を見ている。彼は少し困った様子を見せた。どうやって切りだそうか迷っている、そんな感じだ。だがやがて、意を決したように口を開く。
──── 隊舎にいる『緑色の犬』を消さないで欲しいな
アスナのぼんやりとした瞳が一瞬で鋭く細められる。それと同時に纏う空気が変わった。
「待って。話を聞いて欲しい」
アスナの瞳からは殺気が溢れ出している。話が見えない。緑色の犬? なんだ、それは。
「あれは、僕のレアスキル『無限の猟犬』。探査、偵察、捜査に特化したものなんだ。その……はやてが心配だったんだよ。内査が潜り込んでいると聞いていたしね」
内査……内部調査室か。なんとなく読めた。要するにアコース査察官のレアスキルを使って六課を監視していたということだろう。八神部隊長が心配なのはわかるが、あま
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