第二十五話 〜Mother&Children or Family【暁 Ver】
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────── ママ
「スバル?」
一向に口を開こうとしないスバルを見兼ねたあたしが名前を呼ぶと、スバルは夢から醒めた少女のような表情をした。それは、とても──── 儚くて。その時のあたしは、どんな顔をしていたのだろう。
「ごめん。少し、昔を思い出してた。……大丈夫だよ」
スバルの独白。それは決して、独裁者が人心を魅了するような演説ではなく。訥々と語られるスバル自身の『言葉』は、深々とした部隊長室の空気と。あたしたちの心へと染みこんでいく。自分と姉の出自。両親との出会い、思い出。魔導師を目指すことになった切掛け。信念。あたし達との出会い────
部隊長室に集められたあたし達の中で誰一人、余計な口を挟む者などなく。誰一人、スバルに対して痛ましい視線を向ける者もいなかった。
「……あたしの話は以上です。あたし達からレリックのケースを奪っていった子と、フェイトさんの前から消えた子達も……ISと呼ばれる能力を使っていたと思われます」
IS……先天性固有技能。戦闘機人が持っている魔法とは異なるエネルギーを源とした能力。スバルの説明をあたしなりに解釈したものだけれど、間違ってはいない筈だ。アスナの能力もどちらかと言えば、ISに近いのかも知れない。
「なるほど……魔力反応が無かったのはその所為か。と言う事は、スバルにもあるのか?」
やはり、シグナム副隊長は冷静だ。
「はい。ですが……あたしのISは制御が難しくて、まだ戦闘に使えるレベルにはありません」
「そうか……」
それでいい。他所からのスパイが堂々と潜り込んでいる状況を考えれば、手の内を明かしてやる必要はない。他の戦闘機人がどうなのかはわからないが、スバルは『魔導師』と『戦闘機人』を意識的に切り替える。アスナが普段と戦闘とで、別人のようになるのと一緒だ。
戦闘機人モード……スバルは『バーストモード』と呼んでいるが、その状態で使えるのがスバルのIS『振動拳』。ストレートなネーミングは実にスバルらしい。拳などから振動波を発生させ、接触させることにより対象物を破壊する。内部にまでダメージが通る為に、決まれば必殺と言って良いだろう。
以前、アスナがこれをまともに喰らった。あの、アスナを──── 昏倒させたのだ。全身強化を使っていた上に、物理防御に特化したフラッターの守りを抜いた威力は折り紙付き。文字通りの切札。余談だが、アスナは頑に少し寝ていただけだと言い張っている。
「はやてちゃんは、知っていたんだね」
なのはさんが、若干咎めるような視線を八神部隊長へと送る。
「ごめんなぁ。ティアナとアスナちゃんも知っとった。私が口止めしとったんや。二人は
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