心の鎧
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するとは」
「そんな事言ってる場合じゃないのよ、グレイ」
呆れたようにティアが口を開く。
「あのバカナツ、ロケットに酔ってそこの梟に喰われちゃったの」
「何だと?」
ティアの言葉に、グレイは梟に目を向ける。
「テメェがそんなんでどうすんだヨ!クソ炎!」
ガン、とイラつきながら壁を殴るグレイ。
梟は自分の腹に手をやる。
「消化が始まったぞ。あと10分もすれば、火竜の体は溶けてなくなる。そうすれば、奴の魔法は完全に私のものになる」
つまり、梟と戦うなら10分以内に勝負を終わらせなければならない。
「俺が片付けてやる!下がってろ!」
そう叫びながらグレイは造形魔法の構えを取る。
一瞬にして冷気が集まり、形を得ていく。
「アイスメイク、槍騎兵!」
左掌を右手の甲に当て、クロスさせた状態の手から無数の氷の槍が放たれる。
これが普通の梟ならば、かなりのダメージを期待できたかもしれない。
が、相手はナツを『喰っている』。
「火竜の咆哮!」
――――――グレイにとっては相性最悪な、炎の魔導士を。
「!?」
「奴は火竜の魔力を吸収してるんだ!」
シモンが叫んだが、時既に遅し。
ジュッ、ブシュ、と音を立て、氷の槍は炎に呑まれていく。
「ぐぁあぁっ!」
梟の火竜の咆哮はグレイをも包む。
「ホーホホウ!炎の中では氷は使えまい!」
「あぁあああっ!」
全身を襲う激痛に、叫びをあげる。
「こんの・・・ヤロォ・・・」
「グレイ!」
が、グレイは諦めない。
なんとしてでもエルザを救う・・・こんな所で無駄な足止めを喰らっている場合じゃないのだ。
「無駄だァ!貴様も火竜の仲間なら、この炎がいかなるものか知っているだろう!」
「がはああっ!」
わいわい、がやがや。
ギルドの騒がしさを現すなら、この2つの単語で十分だ。
―――――が、そんなギルドの中心から遠く離れた場所に、エルザはいた。
鎧を纏い、眼帯をし、テーブルに置かれた飲み物にも手を付けず、ただ座っている。
「あのコ、いつも1人ね」
「そう思うなら、カナが話しかけてやればいいんじゃねーの?」
「思いっきりシカトされたんだけどね」
カナはそう言ってため息をつく。
――――因みに、単独行動が好きなティアは1人ではない。
エルザ同様、中心から離れてはいるが、彼女の傍にはティアとセットと言ってもおかしくないクロスやルー、アルカにクロノがいるからだ。
「ま・・・新入りのくせにこのグレイ様にアイサツなしってのは気に入らねぇな」
「いつからそんなに偉くなったのよ」
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