一部咲キ
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くる。緩慢になっていく世界の中、取り囲む級友たちの声が響きまるで一人だけ別世界から見ているような感覚に包まれながら春風の揺りかごに揺られ意識が揺れる。
聞こえてきた規則正しい足跡に揺りかごが止まる。教師が来たのだ。
何故か一つ足音が多いな少女は緩慢な意識で思う。
摩擦の足りない掠れた音を出しながら戸が開き教師が入ってくる。
「おらお前ら席に付け。いつまでも休み気分でいるなバカども」
「あ、すみません。それより聞いてくださいよ先生。こないだ彼女にエロ本見つかって殴られたので「俺はロリコンだ安心しろ!」っていったら何故か後で彼女の父親に殴られました。どうしたらいいですかね」
自分以外のクラスメイトが笑い声を上げてその男子を馬鹿にする。
そんな彼らを遠くから見る。
教師がめんどくさそうに口を開く。
「死んどけ。あと俺に向かって次のろけたら教師権限で通知表に1を並ばせるぞ」
「うわ、職権乱用」
「黙れ。さっさと座れ」
だるそうな声を上げる男子に続き皆が自分の椅子に戻っていく。
それを最初から座ったままの少女は緩慢な視線で見る。
「よし座ったな。じゃあまず最初にこの間言った転校生を紹介する」
「……?」
初耳の情報だ。
教師の言葉に少女の意識がまどろみの世界から僅かに覚醒する。
驚く少女とは対照的にクラスメイトたちは待ってましたとばかりにその沈黙の中に期待の色を漂わせる。
それを見て知らなかったのは自分だけなのだと少女は知る。きっと昨日か一昨日かそれとももっと前か。いつかは知らぬが確かに知らされていたのだろう。
それを気にする余裕がなかったのだろう自分は。
クラスメイト達は皆視線を廊下に通じる扉へと向ける。さながら太陽に顔を向ける花のように。 ”転校生” という要素は彼らにとって青春の養分、なのだろう。
ふと人を花に例えた歌があったなと思い出す。オンリーワンとナンバーワン。
一つ一つ違う花。この部屋の花たちは地に根を張って空へと伸びている。花を支える地は“家族”や“友人”、“恋人”や“信念”や“才能”。伸びた先は“夢”であったり“将来”、なのだろう。互が互で支え絡み合い上へと育つ。
彼らに比べれば自分は泥水にたゆらう花だ。あると信じていた「地」はなく、罅が入って砕けた。たいそうなモノ何ていらないと思っていたのに、気づかぬうちにその一つにさえ罅があった。なくなったのに下の泥の欠片を見てまだ有るのだと縋って根を伸ばす。
崖の上の花であれ。強く咲き誇る花であれと自分に言ったかつての「地」。
だが今では水面が揺れるだけで揺れて倒れそうになる自分だ。
代わりに縋る物もない。何かの一番になれる物なんて自分にはないのに奪われる。
時間だけを
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