話数その8 捕まらない
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魔が、翼を広げて犬のような化け物と晋を追いかけているからだ。 追いつかれそうになっている所を見ると、バレるのは時間の問題のようだ。 ……というか、晋の性格からして、バレる事をダルいとは思っていても、隠すような事はしないだろう―――彼的にはそっちの方がダルいのだから。
『ガルルルゥゥゥゥウウウアアアァァア!!!』
「……うるせーなぁ……何でお前の眼の前横切っただけで追われにゃならんのだ……ちゃんと抜き足差し足忍び足……刺し脚だったか? 足の時違った……いや、言ってる場合じゃねぇっての」
化け物から逃走しながら、これだけふざけられる彼はもはや大物と言ってもいいのではないのだろうか? 普通、切羽詰まって声すら出ない筈なのに。
勿論、そうやってふざけていれば――――
『ガブゥ!』
「あ」
『グフ―――グルフフゥウゥフフフ』
「あ〜……嬉しそうだな、お前……」
捕まるのは目に見えている。 ちなみに追いかけて居た理由は、目の前を横切ったからではなく腹が減っていたからのようだ。
(……ダルいから、退治は後ろからやってくる奴らに任せるか……あ〜、ダリ〜……)
そして、化け物は、晋の肉を楽しむべく咀嚼を開始した。
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「はぐれ悪魔は退治出来た……けど……っ!」
「うん……間に合わなかった」
「ちきしょう……ちきしょうっ!!」
支取の眷属たちは、はぐれ悪魔の死骸と共に横たわっている上と下に別れた人間の死体を見、ある者は俯き、ある者は歯を食い縛っている。
主である支取が警戒している男だから、きっとはぐれもなんとかできると思い……その結果がこうなってしまったからだ。
そんな様子の眷属たちを見渡した後、支取は申し訳なさそうな顔で、男の死体に頭を下げる。
「……すみませんでした、灰原晋君。……趣味で十字架を持つ人だっている事を、警戒し過ぎるあまり思いつかなかった……本当に、本当にすみません……」
「……そう思うなら、さっさと土に埋めるなりしてここから去って欲しんだけどな……」
「「「「「―――え?」」」」」
「……あ」
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