第二十四話 〜彼女たちのお話 -スバル・ナカジマの章-【暁 Ver】
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うに──── 災厄が増えていった。
次の日、桐生アスナを探しているスバルの姿が隊舎にあった。だが、肝心の桐生アスナの姿が見当たらない。スバルが途方に暮れていた時に廊下の先を歩いているフェイトの後ろ姿を見つけたスバルは、さらりと揺れる腰まである豊かなブロンドを視界に収めながら声をかける。
「うん? どうしたの、スバル」
「はい、アスナを見かけませんでしたか?」
「アスナなら、中庭で向日葵を植えてたよ」
スバルは肩を落とす。最初から中庭へ行くべきだった。礼を言おうとしたスバルではあったが、フェイトの表情が気にかかった。何かに怯えているような……そんな不安そうな表情。
「どうかしたんですか?」
「うん……向日葵って昔から虫を呼ぶって言われてるから……」
フェイトの言葉を聞いたスバルは苦笑せざるを得ない。やはり虫は嫌いらしい。対して高町なのははゴキブリ以外は存外に平気だと言うことが発覚していた。怖がればアスナを喜ばせるだけだと伝えようと思ったが、かと言って我慢しろと言えるはずもなかったので既の所で言葉を飲み込む。
「アスナにとってはご褒美なので……」
「そうなんだよね……スバル、聞いて。この前なんか、カブトムシの幼虫を持って追いかけてきたんだよ」
「ホント、ごめんなさい。後で言っておきますから……ティアが」
ティアナへ丸投げするところが実に彼女らしいが、昔からその手の説教ごとはティアナの役割になっていた。スバルは手を振りながらフェイトと別れると、中庭を目指した。
その日。家に帰ったあたしと、ギン姉は公園での出来事を包み隠さず、父さんと母さんに話した。母さんは泣きながら、あたしとギン姉を抱きしめると、ごめんなさいと謝った。どうして母さんが謝ったのかその時はわからなかった。父さんはそんなあたしたちを見ながら、おまえ達は大切な娘だと言ってくれた。それが何故かとても嬉しくて、暖かくて。母さんの温もりを感じながら、あたしとギン姉は──── 泣いた。
戦闘機人──── 母さんが説明してくれたけど、その時のあたしは何一つ理解出来なかった。ただ、一つわかったのは。あたしとギン姉は、『人』じゃない。そんな悲しい現実だった。
スバルが中庭へ足を踏み入れると、今も空に浮かんでいる暖かな太陽を思わせる黄金と爽やかな緑のコントラスト。そして、さわさわと吹く心地良い風に揺れる大勢の向日葵が、スバルを出迎えた。
花壇の一角を陣取った向日葵を前に──── 桐生アスナは、心なしか満足気に立っていた。風に揺れる向日葵に合わせるように彼女の髪も揺れる。スバルはそんな光景をもう少しだけ見ていたかったが、自分がここに来た理由を思い出し、アスナへ声を掛
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