暁 〜小説投稿サイト〜
炎髪灼眼の討ち手と錬鉄の魔術師
”狩人”フリアグネ編
五章 「紅世」
[5/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ら、教えてもらえば良いだけだしな。こういうは考える事が重要なんだ。
 これにはアラストールが答えてきた。
「そうなるな。貴様を襲ったのは『徒』自身ではなく、燐子という下僕だが―――。」
「そう言えば、昨日そんな事言ってたな……。それじゃ『徒』の目的はなんなんだ?」
 さながら異次元からの侵略―――、といった具合の問題だ。なにかしらのメリットっでもなければその様な行為は行わないだろう。
 ならば、目的さえ分かれば何かしらの対策が立て易くなる。
「さてな、目的は各々による。一概には言えん。ただ我ら『紅世の徒』はこの世において『存在の力』を『自在』に操る事で顕現し、またそれを変質させて事象を左右する事が出来る。その事実ゆえに、この世に侵入する『徒』は後を絶たない」
 目的は個々にあるって事か………。厄介な話だ。統率された集団ではなく、目的の為の利害が一致しているだけの集団ほど御し難いものはないからな。
 しかし、存在の力を自在に操って顕現? 一体、どういう意味だ?
「ちょっと待ってくれ、そもそも……存在の力ってのはどういう力なんだ?」
 実を言うと、これに関しては昨日から気になっていた。なにかしらのエネルギー源であろう事は間違いないのだが、その様な名称は聞いた事もない。魔力ではない事は確実に分かるのだが。
 シャナが溜め息をつきながら、説明を加えた。
「要するに根源的なエネルギーみたいなものよ。それがあって初めて、どんな物も存在出来る。紅世から来た、本来『存在しない物』の『徒』は、その力を得る事で、この世に存在出来る―――。分かる?」
 物質自体が保有しているエネルギーという事だろうか? シャナの説明からすると、この世に存在している物質は、全てその存在の力という物を有しているらしい。
 そして、この世の歩いていけない隣、つまり一種の別次元の存在たる、紅世の徒はこの世の物じゃない。だから、本来はこちらに存在出来ない物だ。自分をこの世に存在させる為に存在の力が必要、という事だろうか。
「とりあえずは、な。続けてくれ」
 情報を整理する為にも、さらに情報が必要になる。頭がパンクしない様に、随時情報を整理しつつ、シャナの言葉に耳を傾けていた。そんな様子の俺を見て、シャナは続ける。
「この世に居座る為には当然、『存在の力』を使い続けなきゃならない。だから、『徒』は人間からその力を集めてるの」
 ふむ。ただ存在の力を得ても、元からこちらの住人でない徒は常に力を消費し続けるという事か。
「存在の力を集めるってのは、昨日のアレの事か?」
 昨日の炎と化した人々が喰らわれていた光景が蘇る。あまり思い出したくない光景ではあるのだが。
 意識していなくても、人が炎上していく様は俺の記憶に刻まれたあの景色を想起させてしまう。我ながら情けない話だと
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ