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連邦の朝
番外編 辺境の公爵
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いた弓を構えていた。

「いや、ある者を探していて。」
エスターシュの言葉は、嘘だと解っている筈のヴィヴィアン達でさえ真実を語っている様に見えた。

「人間などは、此方には来ておらん。早々にこの森から立ち去って貰おうか!」
警戒している翼人の威圧する言葉すら、魑魅魍魎、陰謀渦巻く宮中を征し操った実績を持つエスターシュの前には、効かなかった。

「私が探しているのが、何故人間だと?」
エスターシュが、翼人に問う。

「人間が、人間を捜すのが世の道理であろう。問いに答えたのだから、出ていけ。」
翼人は、変わらず高圧的な態度で自分達の縄張りから出ていけと迫る。

「フム、道理だな。しかし、君らを捜していたとしたらどうする?」
エスターシュは、鋭い言葉で切り返した。

「ならば、こうするまでよ!」
風を背中に貯めて魔法を打とうとすると同時に、更に弓に入れる力を強めた。

「なっ、何だと!!!」
ヴィヴィアンは、叫んだ。

「おい、女性が自ら気品を疑われる言葉使いをするものではないよ。」
余裕のあるエスターシュの言葉にヴィヴィアンは、苛ついた。

「何を言われるのですか?この状況はまずいでしょう。」
声を絞り翼人に聞かれないように話すが、若干焦りの見えるヴィヴィアン。

「お母様、大丈夫。私がいるから。」
ダルシニがヴィヴィアンの前に立った。

同時に、彼女の妹であるマミアスもヴィヴィアンの服の袖を強く握り、ヴィヴィアンを勇気付け様とした。

「話し合いに、来たのに野蛮だな。」
エスターシュは、懐からワイアットに持たされた爆竹と“鉄の筒”を取り出した。

エスターシュが、鉄の筒を構え出ている導線に火を灯し爆竹の塊を宙に浮かべ翼人に飛ばした。

「くっ……その程度で……。」
風の先住魔法を使い、爆竹を落とそうとしたが……その瞬間に、空気を切り裂く音と共に何が爆竹にぶつかり弾け飛んだ。

「あっ……。」
この時に空気が揺れ動き叩き落とされた翼人は、地面に落ちた。

「うん。これは、陛下に正規採用を打診すべきだな。」
叩き落とされた翼人を見ながらエスターシュは、微笑んだ。

「一体、これは?」
ヴィヴィアンは、信じられない光景に絶句した。

「お母様、大丈夫だったね。」
「私が出なくて良かったんだね。」
人でない双子の声が音が消えた辺りに染み込んだ。
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