”狩人”フリアグネ編
四章 「名も無き少女」
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スがないな俺は。子どもに名前を付ける親の苦労ってのはこういう物なのだろうか?
ともかく『贄殿遮那』をそのまま使うのは、あまりにも芸がない。と言うか、そんなの名前でも何でもない。
だが、少女自身がそうしていたように、この少女を象徴してる武器なのだろう。そうでなければ、わざわざ刀の銘を選ばないだろうし。きっと、彼女にしてみれば英霊にとっての宝具と同意なのだ。
にえとののしゃな……か。
にえとのの、しゃな……。
にえとの、の、しゃな。
―――、しゃな。
「よし、決めた」
これなら語呂もいいし、人の名前っぽいよな。
「勝手に考えこんで、なにを決めたのよ……」
少々、困惑気味に少女が聞いてきた。いや、もう少女なんてのは無しだ。
「俺はあんたの事を『シャナ』って呼ぶことにする」
いや、まぁ会話の最中で放置してて悪いとは思うけどな。
だが、平井ゆかりと彼女は別人だ。なら、彼女には別の名前が必要だろう。
非常に安直なネーミングだとは士郎自身も思ってはいるが……。
士郎にとってそれは重要な事だが、『シャナ』と名付けた少女にとっては、どうでもいい事だったらしい。
首を傾げて、軽く答えてきた。
「勝手にすれば? 名前なんてどうでもいいし、私は私の役目を果たすだけだから」
確かに俺の勝手な事なんだけどさ。少しは反応して欲しかったと言うか……。
いや、今は良いか。人の認識なんて、そう易々と変えれる物でもないし。
「役目って、俺を餌に敵を釣ることか?」
「お前に喰いついてくる奴がいる間は、そういうことになるわ」
「つまり、俺が消えるまでって事か」
我ながら、なんとも身も蓋もない言い方だな。
「最後に聞きたい、あんたは俺の敵か?」
「さぁ? それはお前次第の事よ」
お前が邪魔をしない内は味方だ、と彼女は暗にそう言った。
なら安心だ。
俺達にとっての共通の敵は、曰く存在の乱獲者『紅世の徒』との事。だったら、共闘している間に彼女に剣を向ける事態などは有り得ないのだから。
なら、後は当面の問題を解決するだけだ。
「それじゃ、改めてだな。シャナ、小テストの範囲を教えてくれないか?」
シャナと名付けた少女は眉を顰めた。
「勝手に名付けて、いきなり呼び捨て? まぁ、良いけど……。テストってのはこの程度のお遊びでしょ?」
鞄から教科書を取り出したシャナは、ヒラヒラと振って見せる。ちなみに、振っただけで何も教えてくれなかった。
いや、お前の感想を教えてもらっても仕方がないんだが……。
これで、範囲が分からない状態で受ける事が確定したな。まぁ、高校レベルの問題ならなんとかなるか?
仕方がないので、教科書の初めの方を確認する。入学してそれ程経っていない様なので
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