暁 〜小説投稿サイト〜
炎髪灼眼の討ち手と錬鉄の魔術師
”狩人”フリアグネ編
四章 「名も無き少女」
[2/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
思ってた」
 これでも譲歩した方だと思う、見た目だけだと中学生でさえ怪しいからな。
「そのレベルから話さないといけないわけ?」
 はぁ〜、とため息をついて、気だるそうに少女は説明を始めた。

「まず言うけど、私は高校生でも中学生でもないわ」
 ほぅ、そうなのか。
「薄々気付いてたけど、やっぱり小学生だったか!?」
 やっぱり、その外見で高校生な訳はないよな。

「小学生な訳ないでしょ! 私はフレイムヘイズよ!」
 うわっ、吠えたよ!
 周りに会話が聞こえたらどうすんだ?

「はいはい、わかったよ。―――で、そのフレイムヘイズさんが何で高校にいるんだよ?」
 大人しく話を聞く事にしておくか。もう吠えられるのは嫌だし。
「お前を狙う奴らを釣るには、近くに居た方がいいでしょ? だから、ここにいたトーチに割り込んだのよ」

 その一言でその場の空気が変わった。こんな所にも犠牲者がいたのだ。

「割り込んだ―――ッ!? あんたは平井ゆかりじゃないのか!? 何で誰も気づかないんだよ、俺すら違和感を感じないなんておかしいだろ!」
 どういう事だ、なぜ俺でも気付かない。確かに俺でも、道行くトーチが消えた時に違和感はほとんど感じなかった。けど、消えたという事実は認識出来ていた筈だ。
 つまり、俺はこの世界の特異を認識出来る筈なんだ。なのに、どうして俺は目の前の少女を平井ゆかりだと認識しているんだ。
「割り込むってのは、他の奴が認識してた『平井ゆかり』って存在と私を挿げ替えるって事なのよ」
 平井ゆかりの存在と挿げ替えた。そう少女は言う。
 消え行く運命だったとはいえ、平井ゆかりを消す権利は誰にも無い筈だ。そんな権利があっていい訳がない。
 淡々と事後報告のように話す少女………いや、皆の認識する『平井ゆかり』に対して、俺は何かを言えずにはいられなかった。
「確かに彼女はトーチだったんだろう。だが、あんたが彼女を消して良い筈がないだろ」
 前の平井ゆかりと面識があるという訳ではない。むしろ、全く知らない人と言ってもいいだろう。だが、消えていった坂井悠二の為、そして自分の為にも少女に問いかける。
「遅かれ早かれこいつは消えてたのよ。それに、どうせ消えかけてたし。それに―――、お前だって“私と同じ”じゃないのかしら?」
「それは………」
「あの時に私が見た感じだと、その身体は“元はお前の物じゃなかった”と思うんだけど。違うのかしら? もしそうだったとするなら、お前に私を非難する資格はないわ」

 確かにそうだ。坂井悠二の存在を塗りつぶした俺に、彼女を非難する資格はない。
 例え、偶発事故の類いだったとしても、俺がした事は決して許される事はないって分かってる。そんな事は分かってるさ。
「その様子だと、図星かしら?」
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ