”狩人”フリアグネ編
三章 「御崎市」
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翌日、カーテン越しに差し込む朝日の中で、士郎は目を覚ました。
「―――ん、良い朝だ」
思いっきり睡眠を取ったのは、何日ぶりだろうか。
協会に捕まって投獄される前は戦場に居た為、随分前の事の様に思われた。
半身を起こし、自分の体を確認する。
そこには寝巻き代わりのジャージ着ている自分がいた。
ちなみにこのジャージは、部屋の中をあら探ししている時に見つけたものだ。聖杯戦争当時の体格なら、少し丈が余っていだろうが、今の身体は坂井悠二を基準としたサイズになっている。
その為、当然と言えば当然だがジャージのサイズにはなんの問題もなかった。まぁ、前の身体自体が、あの赤い弓兵程の身長には達していなかった為、そうそう極端な体格の変化はしていない。
とは言え、流石にセンチ単位での誤差が生じているのも、また事実な為、調整が必要な事は明白だ。
実戦では少しのズレが命取りになるからな。
さらに視線に力を入れると、ちろちろと燃える灯が胸に見える。
「特に、昨日と変わりはないな」
良い意味でも悪い意味でも変化はないようだ。
念の為、体を『解析』しておくことにするか。
「―――解析、開始」
身体機能、及び魔術回路に変化なし。
解析結果は昨日の結果と変化は無いようだ。ただ、増大している魔術行使時の魔力消費量が、若干低減している。
と言っても、非常に微細な減少量なので、どちらかというと変化していないと言った方が正しいだろう。
「この体に馴染みきっていないのが原因かもな………」
元々、坂井悠二には魔術回路がなかったらしい。そこに無理矢理、俺の魔術回路を増設し、これまた無理矢理な形で魔力を流している。魔術師と普通の人間の身体の作りは全く異なるので、当然と言われれば当然の結果だ。
恐らく、不具合はゆっくりと改善されていくのだろう。
精神は肉体に影響されると言う、なら、逆もまた然りである筈だ。
不具合の原因である身体が魔術師の物に作り換わってくれれば不調の要因はなくなるしな。
もっとも、現在の俺にそんな時間はないが。
「まぁ、仕方がないか」
この結果は別に昨日からわかっていた事だ。
今は出来る事から始めていくしかない………。
「まずは――、鍛錬に使う武器を用意しないとな」
感覚のズレは鍛練をして補正をするに限る。ただでさえ俺には才能がないんだし。
まぁ、ようするに慣れだ慣れ。
「――投影、開始」
鍛錬用の木刀を二振り投影する。
だが、宝具や刀剣類ならともかく、ただの木刀の投影でさえ、かなりの時間が掛かってしまった。これ位は瞬時に投影できて当たり前だったんだが………。
時間にして約一分。
「やっぱり、当面の問題は投影の速度だな」
どうしたものかと
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