”狩人”フリアグネ編
三章 「御崎市」
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考えていると、階下から声がかかった。
「士郎くん、もう起きる時間よ?」
士郎は壁に掛かった時計を見る。自分の通わねばならない高校までの距離を考えると、少々、時間的に厳しくなっていた。
「学校に行かなきゃいけないんだな―――って、もうこんな時間か!?」
とにかく今は学校に行かなければならない。与えられた役割をこなすため、先程までの思考を中断し、階段を大急ぎで駆け下りた。
幸いにも、1日のスケジュールは坂井悠二の記憶から引き出せるので、無駄なく行動が出来る。
駆け込んだ先の居間にあるテレビでは、彼がいつも見ていたスポーツニュースが終わっていた。この世界の近況を確認したい所だが、今はそんな時間的余裕などない。
居間の食卓の上には、ご飯と味噌汁、海苔に卵焼きという、シンプルで定番の朝食が二人分用意してある。言うまでもなく、坂井悠二の母だった坂井千草と、坂井悠二に成り代わった自分の分だ。
現在、坂井家は夫の貫太郎が海外に単身赴任しているため、妻の千草が居候の衛宮士郎と2人で生活中、………という事になっている。
士郎がご飯をかき込んでいると、その千草が居間に入ってきた。
朝刊と牛乳を取りに行っていたようだ。
「どうしたの、士郎くんが寝坊なんて珍しいわね」
「一応、目は覚めてたんだけど、色々あってさ」
どうやら坂井悠二はあまり寝坊をしない人物だったらしい。近年の若者にしては優秀なのではないだろうか。かく言う俺自身も、学生の頃の朝は早起きをしていた方だったらしいが。そう言われても自覚がないし、桜に頼りきっていた所もあったんだけどな。
朝食をかき込みながら、朝刊と牛乳を食卓に置く千草をちらりと盗み見る。
おっとりとした顔で笑みを浮かべた、人の良さそうな女性だ。
ついでに胸の方を凝視する。
ふむ、仮にも一児の母だった人の身体には見えないな。
この歳の子どもの母親にしては、とても若々しく見えた。いったい何歳で出産したんだろうか。
―――誓って言うが、結果的に身体が若返って、お盛んな思春期高校生になってしまったと言う訳ではない。
確認したい事があったから、仕方なく凝視していただけだ。
それにしても綺麗な人だな。
かつての■■士郎には母親もいたんだろうけど、あの大火災で亡くなった。どんな人だったのかは覚えていない。
俺にとっての家族は切嗣と藤ねえだった。
切嗣は決して家事能力に優れていたという訳ではないし、藤ねえは言わずもがな……だ。それに、藤ねえは母親と言うよりも、呼び名の通りの『姉』だったので、母親についてのイメージはいまいちピンとこない。程なくして切嗣が亡くなった後も、俺の事を気にかけてくれたのには、今でも頭が上がらないが。
何の皮肉か、聖杯戦争が原因で家族を失
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