話数その7 経たない
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たんだあの人間は。逃げるそぶりすら見せないぞ?」
「神器の力は感じるが……そんなに強くはないな。むしろ弱い方に天秤が傾く」
「じゃ、怯えて動けないんじゃないっす? あはっ、かわいいっすね〜」
(……確か……そうだ、“烏天狗”)
大外れ―――正解は“堕天使”である。第一どれだけ共通点を探そうが、堕天使と烏天狗では、“て”しか合っていないのと、黒い羽根を持っている事しか無い。
(………喧嘩はダルいから…あまりやりたかないんだよなぁ…どうするかねぇ)
此処の所連続で戦っていた所為か晋のやる気は、無尽蔵といえるほどの武器とは対象的にもう殆ど無くなっており、更には状況的に逃げる事も出来なさそうなので、さてどうしたものかと考え込んでしまっている。
(……あ〜……そうだ、その手があった)
やがて何かを思いついたらしい晋は徐に歩き出すと、木の傍に座り込む。 そして神器から取り出したビーフジャーキーを齧り始めた。
怯えていると思っていた人間の、余りに突拍子もないその行動に、堕天使達は呆気にとられてしまう。 だが、流石にいつまでも呆然とはしていない。
「どうやら、我々の事を舐めているようだな」
「下等生物に舐められるなんてムカつくんすけどぉ!」
「人間如きが!」
(……鴉って、結構短気なんだな……こいつらとか、あの女とか)
恐ろしい程くだらない事を考えながら、更に晋は神器から“キノコの全て”という、結構分厚い本を取り出して読み始めた。 その様子を見た堕天使達は遂に怒りのボルテージが頂点に達したのか、光の槍を作り出し―――
「死ね!」
「くたばれぇ!!」
「はっ!」
三方向から、晋へと光の槍を投げつける。槍は何かに遮られる事も無く、晋の頭、胸、腹にそれぞれ刺さり、食べていたビーフジャーキーは飛び、呼んでいた本も穴が開いた。
「ふん、人間如きが、堕天使を舐めた態度を取るからそうなるのだ」
「……まぁ、此処に入ってきた時点で命はなかっただろうが……な」
「はっ、ザマァ〜みろ!! ザマァ〜みろっすよぉ!!」
やがて、槍が刺さっている部分から血が流れ出していく。特に頭からは洪水のように血がとめどなく溢れ出しており、他の部分も傷の大きさから致命傷である事は目に見えていた。
彼の後ろの木にも穴が開き、脳髄や内臓らしき肉片がへばり付いている。
まだまだ怒りは収まらないと言った感じの堕天使たちではあったが、彼らのリーダーの作戦の事もあり、一先ずこの場を去る為に死体にに背を向け飛び去ろうとする。
「あ〜……よく考えたら、本に穴開くし、食ってるものでてくるし……全然いい方法じゃないよな、コレ。
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