第七十八話 諸行無常
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「議長、後始末を終えましたが?」
「そうか、ご苦労だった。色々と面倒だったとは思うが良くやってくれた」
そう思うのならばもう少し労わって欲しいと思いつつも、クラウ・ハーケンは議長に命令を遂行したことを報告し、議長はそれに対して応えを返す。そしてクラウはそのまま報告書を纏めて渡してから退出しようとした。
「――――では、これで失礼します」
「まあ、待ちたまえ。そうすぐに退出することもないだろう?」
しかし、退出しようとしたクラウを態々止め、議長の座っている所からテーブルを挟んだ対面にある席に座る様に促される。立場的にも逆らいようがない為、クラウはそのまま礼をしながら席に座った。
「何、そう面倒だというような顔をするものではない。そこまで時間は取らないさ。今は忙しい時期だからね。君もそこまで暇というわけではないのだろう?」
「ええ、ザフトの新型機が多数存在しているせいでそちらに時間が割かれているのが一番の原因ですね。とはいえ、連合から収集させたデータの統合もまだ終わっていないので、そちらの方でも随分と忙しいのですが……ノイエ・ジールUに関してはどうでした?不具合はないかと思いますが一度本人からも聞いておくべきでしょうし」
振られた話題には応えるとばかりに返事を返すクラウ。その様子にデュランダル議長は気を良くしたまま答えを返す。
「ああ、悪くはないな。Iフィールドもドラグーンも非常に優秀な兵器だ。MAとしての機体の特性から一人での操作性に難があるのが欠点と言えるが――――それもまあ複座機にすれば解決する程度の問題だろう?」
それは勿論と首を縦に振るクラウ。
「フッ、今の機体の事に関してはそこまで深く追及する必要もない。こちらはまだ問題はない。とはいえ、完成は急いでもらわなくてはな。まだアレの調整は時間が掛かりそうかね?」
「一応議長の実戦データも手に入ったので、これで幾つかの過程は飛ぶことでしょう。しかし、議長――――それをいうのは無茶というか横暴というべきです。機体の完成だけならば既に終わっていたにもかかわらず、OSの設定や他のデータの統合、その他にも多数の作製、改良を加えろというのですから……」
面倒事ばかりで、と言葉を濁しながらもお前のせいだとクラウは言い放つ。しかし、その言葉に気を悪くすることもなく議長は会話の継続を促す。
「なるほど……とはいえ、そこまで長期的にかかる様なものでもないのだろう?」
「もちろん必要だと思っている時までには間に合わせましょう。それが俺の仕事ですから」
そろそろ退出しても良いかと目線で訴えかけ、クラウは席を立つ。今度は議長も止める気はない。だが、最後の質問を議長は彼に投げかける。
「……そう言えば、君に意見を聞くのを忘れていたな
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