暁 〜小説投稿サイト〜
遊戯王GX 〜水と氷の交響曲〜
ターンEX−2 鉄砲水ともう一つの『真紅』
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んが、とにかく何かが変なんだな?つまり、もう一人ぐらい黒幕がいると』
『その可能性は極めて高い。が、よほどうまく隠れているようだな』
『なるほど……どこからどうあたってけばいいのかもわからんが、とりあえず動いてから考えるかね。悪いチャクチャル、デュエルディスク持ってたいから俺も実体化させてくれ』

 ああ、と言って数秒後。そこには、久しぶりに肉の体を持ったユーノが立っていた。そしてベッドのわきの机に置いてあった清明のデュエルディスクとデッキを腕に装着し、精霊軍団を中にひっこめさせると最後にもう一度だけ清明の方をちらっと見て忍び足で部屋を出て行く。
 と思ったら、数秒もしないうちに部屋に戻ってきた。ただし今度の人数は一人ではなく、二人である。三人目の少年と寝かされている清明の間に立ちふさがるような位置をとったユーノが、警戒しながらもふてぶてしく笑ってみせた。

「随分とひっさしぶりじゃねえか、富野さん?」

 そこにいたのは富野……『レッド・デーモンズ・ドラゴン』を軸とした所謂ジャックデッキの使い手であり、元転生者であり現転生者狩りの一員でもある。一度ユーノの前に敗れはしたが、ユーノ自身もあれがかなりギリギリの戦いだったことは承知している。この間は、自分の方がほんのちょっぴり運が良かっただけのこと。あと挑発、つまり心理フェイズがきれいにはまったというのも大きい。そしてそれが二度続く保証は、どこにもないのだ。もっとも、そう思っていることなどおくびにも出さないのだが。
 おそらくあの時のリターンマッチに来たのだろう、とユーノは踏んでいる。だとしたら、せめて清明だけでも守りきらねばなるまい。そう決意を固めたところで、ぽつりと富野が口を開いた。

「まず一つ言っとくが、俺はお前のことが大っ嫌いだ」
「じゃあ帰れよ。素敵かどうかは知らんけど、とりあえず出口はあっちだぜ?」

 お互いに敵意丸出しの、愛想なんて欠片もない会話。だが、少なくとも話をする余地はあるらしい。そう判断したユーノはベッドの端によっこらせと偉そうに腰掛け、それで?と言いたげに富野の顔を見て話の続きを促す。

「………今日は、お前と取引しに来た」
「そりゃまた随分な話だこって。ま、とりあえずはよ続き」
「俺とタッグを組んで、ある奴をデュエルでぶちのめしてほしい」
「はあ!?」

 これにはユーノも意表を突かれ、ずっこけてベッドからずり落ちそうになった。さっきのチャクチャルアとの会話といい今日は意表のつかれっぱなしだ、と心の中でぼやきながら尻もちをつく寸前にかろうじて体勢を立て直し、自分の耳がおかしくなったのかと割と本気で心配しながら聞き返す。

「おいちょーっと待て。つまりあれか、哀れな仔羊であるわたくしめにどうか力を貸してくださいユーノ様よろしくお願いし
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