暁 〜小説投稿サイト〜
聖戦のデルタ
『第五次世界大戦』の部
レクエムの章
第二話『強制避難』
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、そこでみなさんを待っています!』

演説が終わると、人々は各々走り出した。だれがどこへ行くかは分からないが、皆、それぞれの思いを抱えて走っている。

ブブブブブブ……!

多機能腕時計が鳴っている。
「おっ………と、」
多機能腕時計は、文字通り多機能で、アラーム、ストップウォッチ、通話、50字程度の簡易メール、インターネット等々、数えればゆうに20はこえる。ほぼ全ての機能は、腕時計と使用者の脳を直接接続することで使用できるようになっている。
いわゆる次世代の腕時計である。
実際に支給されたのは4、5年前だが。

ちなみに今腕時計が鳴ったのは、電話がかけられたからだ。
ちなみに通話時は、腕時計から脳へと電気信号が送られ、脳は電気信号を『音』として受け取るしくみになっている。故、相手の声が周囲に漏れる事は無い。
10代後半の女の声だ。
『翔馬ー?愛しのお姉様よー』
「アネキ!?ニュース見たか?」
『見たわよ。隣町に強制避難でしょー?』
「どうする?」
『とりあえず父さんと母さんに連絡してみるよー』
「なるほど分かった。俺もすぐ帰る」
(とは言っても、家まで30分はかかるんだけどな)
小鳥遊は、早歩き気味に歩き出した。
「俺が帰るまでに連絡しといてくれ」
『お前の姉は了解したー』
「じゃあな」
『気をつけてねー』
ブツッ…………。

通話終了。

(アネキの声には”危機感”が全く無かった……)
小鳥遊は姉がちょっと心配になった。

街は、慌てふためく人々でごった返していた。
小鳥遊は、人混みの中からなんとか抜け出して、裏道に入る。
裏道から家までは、住宅街を通れば行ける。
小学生の頃考え出した、非常事態のための裏道。人が1人、かろうじて通れるくらいの道。塀の上を進み、トタン屋根付きの階段の屋根を登り、隣の家の屋根を登り、また塀の上を進む。

住居侵入罪スレスレの道。

(後少しで空き地にでるかな……)
小鳥遊がそう考えた時には15:15になっていた。
そして、最後にトンネルを抜けると、10平方メートルの空き地に辿り着いた。

周囲に住居が立ち並ぶ中、何故かポッカリと空いた空間。

そしてこの空間は小鳥遊が見つけ出し、命名した。

〔秘密基地〕

これまた小学生の頃、小鳥遊が2人の友達と作った。
秘密基地からはどの住居の窓も見えない。
逆に言えば、どの住居からも見えない。
完全に『秘密』である。

(いやー懐かしい。小学生の頃は良くここで遊んだっけ)
小鳥遊は、最近全く見ていない親友2人を思い出す……。

……と、突如、小鳥遊の後頭部に重い、けれどちょっぴり柔らかい衝撃がはしった。
「ふごぉッ!」
小鳥遊は、衝撃と重さに負けてそのまま前方に倒れ
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