暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
SAO編
第59話 攻略の鬼と心の変化
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作戦は正に鬼が如くと言った感じだ。或いは情け無用ともいえる。キリトが言わんとしている意味はよく判る。NPCは確かに《生きて》はいないが、彼らが死ぬ瞬間は……、消え去る瞬間はプレイヤーのそれと何も変わらない。

 だからこそ……そんな姿を見たくは無いのは事実だ。

 特にキリトはそうだ。……嘗ての記憶を揺り起こすから。

「NPCは岩や木の様なオブジェクトとは違う! 彼らは!」

 だからこそ、それを間近で見ていたからこそ、キリトはそう言うが、表情を1つも変えずにアスナはキリトを見て逆に問いかけた。

「生きている……とでも?」

 アスナがそうキリトに聞き返していたのだ。
 NPCとはこのSAOと言う構築した世界を成り立たせる要素であり、生きた人間では無い。消え去ったとしても、彼らはまた出現する。

「あれは単なるオブジェクトです。それに、例え殺されてもRePoPするのだから」

そのアスナの言い分は間違えてはいない。だが、納得できない部分も確かにある。

「……心情的には……な」

 リュウキは、そう考えを改めてもいた。キリトからしたら……納得できないところもあるのだ。その考え方はリュウキにも十分に判る。
 キリトと共に、リュウキもあの時《あの場》にいたのだから。

 だが、今を生きている人の……《プレイヤー》の1つしかない命と天秤にかけたら。

 どちらを選ぶべきかははっきりとしていた。

「……あなたは。リュウキ君は、今回の件、そして先ほどの事、合わせて どう思いますか?」

 そこで、アスナが目線を向けたのはリュウキだった。

「確かにキリトの言いたい事は判る。……NPCの、彼らの断末魔は……、最後の瞬間はプレイヤーのそれと全く変わらない。正直 視ていて、良い気分ではない。……だが」

 キリトは初めこそは援護の様な気持ちだったのだろうが……。自ずと理解したようだ。リュウキがどっち派なのか。

「……プレイヤーの命と天秤にかけたとしたら……、やむ終えないと判断する」

 そう言って目を瞑った。

「冷静な判断。ありがとうございます。」

 アスナは、そう言って少し……頭を下げた。だが、キリトは納得していなかった。

「……オレはその考えには従えない」

 断固として反対のようだ。拭えない過去の悪夢の記憶。それらが頭に浮かんでくるのだから。今でも思い返してしまうのだから。

 アスナは、まだ納得していないそんなキリトを見て告げた。

「今回の作戦は、私、血盟騎士団・副団長アスナが指揮を執ることになっています。私の言う事にはしたがってもらいます」

 その言葉を最後にこの場の攻略会議は終了したのだった。



「……相変わらず。だな」


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