第十話 『囚われの南の神』
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何で、こんなところに・・・」
奥に木で作られた十字架が地面に突き刺さっていた。その十字架に何かが括り付けられている。更に目を凝らして見ると、雪のような真っ白な肌に痩せ細った体、ボロボロになり色褪せた紫色のワンピース、ボサボサの長い紫色の髪の毛の少女が鎖で手足を十字架に固定されていた。
エ&ウェ&シャ「!!!」
私たちは言葉を失い、しばらくその場から動く事が出来なかった。
ウェ「!エルザさん!シャルル!もしかして、この女の子が・・・」
『南の神』サウス・・・
シャ「って、何突っ立ってんのよっ!!」
私たちは我に返り、急いでサウスを十字架から放した。そっと首筋を触ると、脈は動いていた。サウスの口には病院で使われる酸素マスクのようなマスクが付けられていて、そのマスクから伸びる管は地下の天井に続いていた。
エ「どうやらこの管を通って離れたところからサウスに栄養を与えていたんだな。」
ウェ「でも、かなり弱っています。」
ウェンディが治癒魔法をサウスにかける。サウスが着ているボロボロの紫色のワンピースは服かどうか分からないくらいボロボロになっており、普通はワンピースで隠れて見えないはずの太股の付け根や胸が露出していた。
シャ「かなり酷い目に合ったみたいね・・・」
エ「・・・あぁ。」
私は楽園の塔の奴隷だった頃を思い出す。自分もこのような状態になりながらも、殺されたくない一心で、涙を流しながら働いていた。奴隷として・・・その時、サウスの右手の人差し指と中指が微かに動いた。
ウェ「よ、よかったぁ〜・・・」
シャ「ウェンディ!!」
治癒魔法を使った為、かなり魔力を消費したウェンディが気を失う。すると、今までずっと黙っていたカヤが、
カ「二つ目の試練、達成ですっ!!」
すると、サウスが薄っすらと目を開けた。ピンク色の瞳はとても虚ろだった。そして目だけを動かして私の方を見ると、
サ「・・・・だ・・・れ・・・・・?」
口を開いた。
エ「もう大丈夫だ。私たちは君を助けに来た。」
私はウェンディが持っていた茶色い革製のショルダーバックの中から水が入った木の容器を取り出した。私は容器をサウスの口元に近づける。
エ「ただの水だ。毒なんか入っていない。」
それを聞いて安心したのか、少しだけ首を動かして容器に口をつけて水を一口だけ飲んだ。
サ「・・お・・・・・ぃ・・しぃ・・・」
少しサウスが微笑んだ。
エ「サウス、お前の事をノースとイーストとウェストが待っている。私たちと一緒に、ここから出よう。」
ノースたちの名前を聞くと、サウスは更に微笑むと、
サ「・・ノー・・・ス・・イー・・・スト・・・・・ウ
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