響の夏休み
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も皆「ああ、こりゃだめだ」といった雰囲気だ。
「これで第一ラウンド終了!!」
真琴は最後のとどめの一撃を放つ。だが、そこで響が初めてキャラを動かし、攻撃を避けた。
「やっとやる気になったみたいだけど、もう遅いと思うわよ?」
「どうだろうな。やってみねぇとわからねぇだろ?」
響は言うと、地震のキャラクターを『オーバードライヴ』させる。『オーバードライヴ』というのは、このゲーム内におけるいわば覚醒のような物で、キャラクターの攻撃力を飛躍的にあげたり、必殺技を変化させる技だ。
この『オーバードライヴ』は相手にダメージを受けていればいるほど、使用時間が長くなり、より長い時間覚醒をキープできるのだ。
「さぁて……反撃開始と行くかね」
響は軽く舌なめずりをすると、先ほどの真琴以上のスピードでコマンドを入力していく。その速さには真琴もガードをする暇がないらしく、先ほどの響同様、あっという間にHPが削られてゆく。
「くっ!? いったいどうして……!? まさか、こんな短時間で成長を?」
「ちがうな、言ったろ? 『ゲーセンで』やるのは初めてだって」
「まさかっ!?」
「そうよ、そのまさかよ! このゲームは家庭版も出てるからなぁ。渉に付き合わされて散々やったもんだぜ」
響は手を休めずに攻め込んでいく。そして一瞬にして、渉のキャラのHPを0にまで持っていってしまった。
その光景に、周りのギャラリーたちは歓声を上げる。それもそうだ、今までどんな相手でも葬ってきた真琴が1ラウンド落としたのだ。歓声を上げたくなるのも頷ける。
しかし、真琴は台の隙間から千李を睨むと、
「絶対に潰してやる……!!」
「遊んでやるからきなぁ。子犬ちゃんよぉ!!」
響は白い歯をむき出しにしながら、真琴を挑発する。そうこうしている内に、第2ラウンドが開始された。
「うらああああああああっ!!!!」
「おらああああああああっ!!!!」
二人とも叫びながら、それぞれのコマンドを入力していく。しかし、ほぼ同時に技を放っているためか、互いに攻撃がぶつかり合い相殺し合ってしまっており、ダメージが入っていない。
「ちっ!? いい加減コマンド入力やめなさいよ響!!」
「ああっ!? 誰がやめるかボケが!!」
互いにののしりあいながらも、二人は手を休めない。だが、そこで響がレバーから指を滑らせる。
「しまっ!?」
「もらったあああああああっ!!」
瞳をギラリと光らせた真琴が一気に詰め寄り、攻撃を放つ。しかし、台の隙間から垣間見えた響の顔はニヤリと口角を上げて、してやったりといった表情をしていた。
……まさかっ!?
真琴がそれを危険視し
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