響の夏休み
[4/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ともあってか、多くの高校生や中学生などで賑わいを見せていた。
中にはガラの悪そうな少年や少女たちもいるが、彼らも響を確認した途端、すぐに横に捌けて、響と目を合わせないようにしている。
響はそんな連中には興味がなさそうに、ただただ奥へと進んでいく。
すると、響の耳に歓声が聞こえてきた。どうやら2D格闘ゲームの対戦が行われているようだ。
……強いやつでもいんのかね。
多少興味が湧いてきたのか、響もそちらに足を向ける。
人混みをかき分けながら、響は対戦台の前までやって来た。しかし、対戦台に座っているのは、
「フフッ。この程度の実力で私に勝とうなんて100万光年早いわよ」
見事な脚線美を周りに見せつけるようにして足を組み対戦相手を挑発するような声を漏らしている、真琴の姿だった。
響は小さく笑うと、真琴の肩に手を置いて、
「よう真琴。ずいぶんとおもしろそうじゃねぇか」
「ん? 響……なにアンタもやってみる?」
真琴はいきなり声をかけられたのにもかかわらず、対して驚いた様子もなく、響に挑発するような視線を送る。
それに鼻で笑いながら、響は真琴の対戦台の前、チャレンジャーが座る台に腰を下した。既に周りにいる連中は、真琴の強さに挑む気も失せたのか、響が座っても文句を垂れる者はいなかった。
「勢いで誘ってみたけど、アンタこういうゲームできんの?」
「いや、ゲーセンでやるのは初めてだ。だけど格闘ゲームなんて同じようなもんだろ」
言いつつ、響は百円硬貨を台に投入する。
画面が切り替わり、キャラクターセレクト画面が表示される。真琴は嘆息しつつも慣れた手つきで自分の使い慣れているであろうキャラを選択する。
響もそれに倣い、自分が気に入ったキャラを選ぶ。因みに真琴のキャラは青い長髪の、浅黒い肌をした筋肉質の大男だ。対し、響の選んだキャラは黄色のローブのようなものを着込み、フードで顔を隠した怪しげな男だ。
「ステージは勝手に決めるけどいいわね?」
「好きにしろー」
ステージセレクト画面にて真琴が告げるが、ここでも響は興味なさそうに答えた。
そして、いよいよ対戦が開始される。
『ACTION』
の文字が表示されるとともに、真琴が間髪入れずに攻め入ってきた。
「先手必勝!!」
真琴は楽しそうに言うと、目にもとまらぬ速さでコンボを入力していく。それはまさしく嵐のような攻撃で、響のキャラの体力をガンガンと削っていく。
「そらそらぁ! ぼーっとしてたらあっという間に負けるわよっと!!」
言いながらも真琴は攻撃する手を緩めない。一方響はというと、何もせずただじっと真琴のプレイを見つめる。ギャラリー
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ